リサーチレポート — S&P グローバルSUSTAINABLE1 — 2025年9月11日

サプライチェーン上のサステナビリティに関する日本企業の取組み

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By S&P Global Energy Horizons


S&PグローバルSustainable1が、株式会社日本取引所グループのご支援により作成したレポート(英語版)はこちらから。

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サプライチェーンは世界規模である場合が多く、1つの大企業が数百、数千ものサプライヤーに依存している場合があります。これにより、サプライチェーンのあらゆる段階におけるリスク管理が重大な課題となる可能性があります。日本企業にとって、サプライチェーン管理はさらに重要となる可能性があります。島国である日本は、貿易を通して原材料やその他の資材を確保する際により多くの課題に直面しており、気候変動による物理的なリスクの影響も拡大しています。

日本を含む世界中の企業は、サプライチェーンに焦点を当て、起こり得るサステナビリティに関する問題を特定しようとしています。投資家や一部の規制当局からの期待が高まる中、企業はサステナビリティ関連リスクによる影響を受けないようにするための戦略を開示しようとしています。サプライチェーンにおけるサステナビリティへの取組みが企業の評判に悪影響を及ぼすだけでなく、場合によっては規制上の問題も引き起こす可能性があると認識する企業が増えてきています。

日本およびさまざまな地域でのサステナブルなサプライチェーン管理の状況を把握するため、S&PグローバルSustainable1は、S&Pグローバルのコーポレート・サステナビリティ・アセスメント(CSA)が収集した3,000社以上のデータを分析しました。これらの企業は「Dow Jones Bestin-Class (DJBIC) Indices World Invited Universe」に選定された世界中の公開企業であり、CSAの評価対象企業です。

本レポートからの主な発見は以下の通りです:

  • 多くの日本企業が自社のサプライチェーンにおけるリスクを評価、開示し、それに対応するための措置を講じています。
  • サプライチェーン管理への取組みは、アジア太平洋地域よりも日本で広く一般的に普及しています。
  • 日本の企業は、潜在的なサステナビリティに関連するリスクを特定するサプライヤースクリーニングの取組みにおいては、世界の競合他社よりも遅れています。
  • サプライチェーンに関連する気候変動対策について見 ると、日本企業はネットゼロ目標の設定において世界をリードしていますが、スコープ3温室効果 ガス(GHG)排出量をこれらの目標に含める企業の数は他の地域と比べて少なくなっています。
  • 各サプライヤーが生物多様性や自然を考慮しているという点では、日本企業は他の地域 よりも進んでいるように見受けられます。

 

日本はネットゼロ目標の割合は高いが、数値が明確に設定されたスコープ3目標はほとんど含まれていない

Dow Jones Best-in-Class Indices World Invited Universeに含まれる企業のうち、ネットゼロ目標とスコープ3目標のある企業の 地域別割合

2025年1月8日時点。

2023年度と2024年度のS&Pグローバル・コーポレート・サステナビリティ・アセスメント(CSA)の対象企業からの回答に基づく結果。 2024年の調査対象企業数は2,789社、2023年は2,765社。

CSA は、「数値が明確に設定された長期的なスコープ3目標」を、スコープ3の排出量の90%削減目標の開示を含む、ネットゼロ目標のSBTi要件に適合するものと定義。

出典:S&PグローバルSustainable1

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