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S&P® クオリティFCF貴族®指数の拡充 ― 米国の中型株及び小型株を対象とした指数を追加

トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代

AIからエネルギーに至るまで:2025年7月のテーマ別市場動向

アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因

指数プロバイダーのブランドとコンテンツ力を活かした商品マーケティング戦略

S&P® クオリティFCF貴族®指数の拡充 ― 米国の中型株及び小型株を対象とした指数を追加

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Wenli Bill Hao

Director, Factors and Dividends Indices, Product Management and Development

S&P Dow Jones Indices

フリーキャッシュフロー(FCF)に基づいて企業の質を評価することは、財務基盤が強固な企業を見極める上で有効な手段であると言えます。企業利益については、会計処理の方法次第では経営状況を正しく反映しない場合がありますが、フリーキャッシュフローは、必要な経費や設備投資を差し引いた後の余剰キャッシュを表すため、企業のキャッシュ創出能力をより明確に示すことができます。

当社が今年発行したレポートでは、S&P 500®を構成する大手企業を対象に、このアプローチ(フリーキャッシュフローに基づいて企業の質を評価する手法)が有効であることを示しました。中小型株のカテゴリーでは、企業業績の変動が大きく、情報開示の透明性も低い場合があるため、フリーキャッシュフローを活用することは、持続的な成長が見込まれる企業を見極める上で一層有効であり、ダウンサイド・リスクを低減する効果も期待できます。

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは2025年7月28日、S&P® クオリティFCF貴族®指数シリーズを拡充し、S&P® 中型株400®クオリティFCF貴族®指数及びS&P® 小型株600®クオリティFCF貴族®指数を新たに追加しました。本ブログでは、これら2つの指数と、S&P® クオリティFCF貴族®指数について、その設計、パフォーマンス、及びセクターとファクターの特性を解説します。

指数の設計

S&P® クオリティFCF貴族®指数 は、フリーキャッシュフローを安定的かつ効率的に創出している優良企業で構成されています。この指数に採用されるには、一定年数以上にわたり連続でプラスのフリーキャッシュフローを計上していることが第一条件となります。この候補群の中から、フリーキャッシュフロー・マージン1とフリーキャッシュフロー投下資本利益率(ROIC)の平均値が高い上位銘柄を選択します。次に、浮動株調整後時価総額にフリーキャッシュフロー・スコアを乗じた値に基づき、各銘柄の組入比率を決定します(図表1参照)。

S&P® クオリティFCF貴族®指数の拡充 ― 米国の中型株及び小型株を対象とした指数を追加:図表 1

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トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代

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Stephanie Rowton

Senior Director, Tokenization and U.S. Equities

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)は2025年7月、ブロックチェーン技術を活用した分散型インフラを提供するCentrifugeと戦略的提携を行い、トークン化市場1に参入することを発表しました。この提携は、デジタル・トークンの発行に向けてS&P DJIが指数データをライセンス供与する初めての事例です。これにより、S&P DJIはS&P 500®をオンチェーン化し、トークン化市場における重要な一歩を踏み出すことができます。このトークン化という最先端技術により、投資家と金融機関の両方に新たな機会がもたらされる可能性があり、取引プロセスの効率化、流動性の向上、及びイノベーションの促進といったメリットが期待できます。トークン化資産の市場規模(ステーブルコインを除く)2は2025年7月30日現在で推定250億ドルに上っており3(図表1参照)、2030年までには1兆~4兆ドルに拡大する見通しです4(図表2参照)。このことは、金融業界においてトークン化技術の重要性が高まっていることを示しています。

トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代:図表 1

トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代:図表 2

トークン化とは?

トークン化とは、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)を用いて、資産に対する権利をデジタル・トークンとして発行する仕組みです。これにより、トークンの保有者は資産の権利を取引・移転することが可能となります。例えば、債券や株式などの金融資産だけでなく、不動産や美術品といった実物資産もトークン化することができます。

トークンは、その資産が何であるかを定義すると同時に、その資産をどのように利用できるかを規定する役割も持ちます。さらに、トークン化技術により、資産の分割所有が可能となるため、投資家は資産全体ではなく一部のみを保有することもできます。その結果、より幅広い投資家層に投資機会が開かれることになります。ブロックチェーン技術を活用して資産をトークン化することで、取引の透明性を高め、運用業務を効率化することができます。これにより、従来型の資産運用に伴う人為的ミスなどのリスクを軽減できる可能性があります。

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AIからエネルギーに至るまで:2025年7月のテーマ別市場動向

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Sabatino Longo

Analyst, Global Equity & Thematic Indices Product Management

S&P Dow Jones Indices

S&P テーマ別ダッシュボードの創刊号に続いて、7月号では多様なテーマの月次パフォーマンスを分析し、市場の主な動向を明らかにしています。本ダッシュボードはTheia Insightsと共同開発したものであり、各テーマを切り口に市場動向を捉えるツールとして設計されています。世界経済を形成する約200のテーマに焦点を当て、多角的な視点から市場パフォーマンスを分析します。本ダッシュボードでは、パフォーマンスが好調なテーマと低調なテーマにハイライトを当て、マクロ指標やセンチメント指標も考慮に入れるとともに、地域、セクター、メガトレンド、及びファクターといった幅広い観点から洞察を提供します。

今月の主な市場動向としては、AI関連のインフラ需要の拡大、精密医療技術への投資家の関心の再燃、エネルギー転換分野における成長トレンドの継続などが挙げられ、これらが今月のテーマ別パフォーマンスを牽引する要因となりました。一方、伝統的なヘルスケア分野(例えば、医療保険)や消費関連のテーマはアンダーパフォームしました。さらに、暗号資産セクターに関する法整備が進んだことから、暗号資産分野全般(特にステーブルコインなど)に対する投資家の楽観的な見方が強まりました。

AIを支えるインフラ:AIの普及に伴い、計算リソースに対する需要が拡大

7月はデータセンター及び高性能コンピューティングが最高のパフォーマンスとなり、13.40%の高い月次リターンを記録し、年初来リターンは32.06%に達しました。メタとグーグルは「AIファクトリー」と呼ばれる大規模なAIインフラに数十億ドル規模の投資を行い、この動きが市場で好感されました。両社が行っている巨額の設備投資はすでに成果を上げており、収益を押し上げる要因となっています。AIインフラは大量のエネルギーを消費するため、これまでは安定電力の確保や送電網の整備などがAIインフラにとって重要な課題となっていました。現在では、原子力エネルギーの他に、再生可能エネルギーと蓄電池を組み合わせたソリューションへの投資が進んでおり、電力供給の問題が解消に向かっています。原子力や再エネ・蓄電などのテーマも7月に堅調なリターンを示しており、これについては本レポートの後半で解説します。

AIインフラに関連するセクターも相対的に好調なパフォーマンスとなりました。光通信及びオプトエレクトロニクスは10.65%上昇し、2桁台の力強いリターンを示しました。データ伝送速度の向上やシリコンフォトニクスの統合といった革新的ブレークスルーがリターンを押し上げる要因となりました。

ヘルスケア分野は明暗を分ける展開:バイオテクノロジーが好調であった一方、医療サービスは低迷

ヘルスケア分野は明暗を分ける展開となりました。

技術革新に支えられたバイオテクノロジー・テーマは堅調に推移しました。

  • 大麻及びサイケデリクスは13.23%上昇しました。シロシビンの治療効果を裏付ける臨床データや、欧州における制度面での進展がリターンを押し上げる要因となりました。
  • ゲノミクス及び遺伝子編集は11.59%上昇しました。AIを活用した遺伝子診断や新生児ゲノム解析における革新的ブレークスルーが進展し、同セクターの重要性が高まりました。
  • がん治療も堅調なパフォーマンスとなり、10.36%上昇しました。精密医療の進展がリターンを押し上げる要因となりました。

一方、医療保険は10.71%下落し、最も低調なパフォーマンスとなりました。保険会社のコスト増加懸念や規制強化の動きが悪材料となり、伝統的なヘルスケア企業のパフォーマンスが大きく悪化しました。薬局関連テーマも9.92%下落しました。償還率(薬局が保険会社などから受け取る治療費の回収率)の低下、インフレ率の高止まり、個人消費の減速、及び競争の激化などにより、薬局関連企業の利益率が圧迫されました。

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アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因

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Kangwei Yang

Director, Fixed Income Product Management

S&P Dow Jones Indices

米ドル建て債券市場は、世界の投資家が容易にアクセスでき、大規模な資金調達が可能であり、流動性も高いことから、長年にわたり世界の発行体にとって第一の選択肢となってきました。しかし、米国の財政運営に対する不透明感が高まる中で、「世界の安全資産」としての米国債の地位が揺らぎ始めています。2025年が進むにつれ、アジアの現地通貨建て債券市場を下支えする様々な要因が明らかになりつつあります。アジアの債券市場は発展を続けており、市場の安定性や相対的な投資妙味が高まっているため、多くの発行体と投資家がこの市場に注目しています。

これまでは、「アジア(除く日本)」という市場区分が一般的でしたが、近年では日本とオーストラリアの現地通貨建て債券市場をアジア太平洋地域に含めることで、同地域をより包括的に捉える動きが広がっています。日本とオーストラリアの国債市場は規模が大きく、流動性や信用力も高いため、両国をアジア太平洋地域の枠組みに加えることで、全体的な分散効果や信用力が高まる可能性があります。

アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因:図表 1

2025年6月30日までの年初来リターンを見ると、米国債(iBoxx 米ドル建て米国債指数に基づく)は3.77%の上昇にとどまっており、当社の主要なアジア現地通貨建て債券指数をアンダーパフォームしています(図表1参照)。iBoxx アジア債券ファンド(ABF)汎アジア指数(米ドル・ベース、為替ヘッジなし)は、8つのアジア現地通貨建て市場のソブリン債及び準ソブリン債で構成されており1、年初来で8.13%上昇しています。iBoxx アジア現地通貨建て債券指数(ALBI、米ドル・ベース、為替ヘッジなし)は、10のアジア市場のソブリン債及び準ソブリン債(約95%)を中心に構成されており2、年初来で7.66%上昇しています。オーストラリアと日本の債券市場(S&P/ASX iBoxxオーストラリア国債及び州政府債指数(米ドル・ベース、為替ヘッジなし)及びiBoxx グローバル国債・日本指数(米ドル・ベース、為替ヘッジなし))は年初来でそれぞれ9.60%、6.40%上昇しており、ともに米国債をアウトパフォームしています。

分散投資の観点から見たパフォーマンス

アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因:図表 2

過去10年間にわたり、アジア太平洋地域の現地通貨建て債券指数は米国債との相関が低~中程度にとどまっています(図表2参照)。したがって、これらの指数をベンチマークとする投資商品を組み入れることで、ポートフォリオの分散効果を高められる可能性があります。iBoxx アジア現地通貨建て債券指数(ALBI)とiBoxx アジア債券ファンド(ABF)汎アジア指数はいずれも、iBoxx 米ドル建て米国債指数との相関が約0.50にとどまっています。オーストラリア国債(0.45)や日本国債(0.43)については、iBoxx 米ドル建て米国債指数との相関がさらに低くなっています。

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指数プロバイダーのブランドとコンテンツ力を活かした商品マーケティング戦略

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Brandon Hass, CIMA

Global Head of Client Solutions Group, Direct Indexing and Model Portfolios

S&P Dow Jones Indices

指数プロバイダーは、透明性の高いルールに基づいたベンチマークを開発・維持することにより、長年にわたり金融市場で重要な役割を果たしてきました。しかし近年では、単なる指数データの提供にとどまらず、自社のブランド力や教育コンテンツを活用し、資産運用会社やウェルス・マネージャーの商品マーケティング戦略を支援する役割も期待されています。

Cerulli Associatesの新しいホワイトペーパーによると 、投資家が利用可能な投資商品が膨大に存在し、ウェルス・マネジメント業界で企業の整理統合が進む中で、資産運用会社は自社商品の差別化を図り、販売を促進することが一段と難しくなっています。こうした課題に対応するため、ウェルス・マネージャーや資産運用会社は、指数プロバイダーの確かなブランドやコンテンツ力を活用することにより、自社商品のマーケティング能力を強化できる可能性があります。

指数のブランドが重要な理由

Cerulli Associatesが最近行った調査によると、ファイナンシャル・アドバイザーは、パッシブ運用商品やセパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)が連動対象とする指数のブランドに注目していることが分かりました。

上場投資信託(ETF)に関してCerulli Associatesが行った調査では、回答したアドバイザーの半分以上(56%) が、ファンドが連動対象とする指数を評価する際に最も重視する要素の一つとして、「指数プロバイダーのブランド」を挙げています(図表1参照)。

指数プロバイダーのブランドとコンテンツ力を活かした商品マーケティング戦略: 図表 1

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