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アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因

指数プロバイダーのブランドとコンテンツ力を活かした商品マーケティング戦略

投資家の期待値と市場アノマリー

名称のみの変更:S&P 500 ESG指数からS&P 500スコアリング&スクリーニング指数へ

S&P 500を構成するセクターのパフォーマンス分析

アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因

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Kangwei Yang

Director, Fixed Income Product Management

S&P Dow Jones Indices

米ドル建て債券市場は、世界の投資家が容易にアクセスでき、大規模な資金調達が可能であり、流動性も高いことから、長年にわたり世界の発行体にとって第一の選択肢となってきました。しかし、米国の財政運営に対する不透明感が高まる中で、「世界の安全資産」としての米国債の地位が揺らぎ始めています。2025年が進むにつれ、アジアの現地通貨建て債券市場を下支えする様々な要因が明らかになりつつあります。アジアの債券市場は発展を続けており、市場の安定性や相対的な投資妙味が高まっているため、多くの発行体と投資家がこの市場に注目しています。

これまでは、「アジア(除く日本)」という市場区分が一般的でしたが、近年では日本とオーストラリアの現地通貨建て債券市場をアジア太平洋地域に含めることで、同地域をより包括的に捉える動きが広がっています。日本とオーストラリアの国債市場は規模が大きく、流動性や信用力も高いため、両国をアジア太平洋地域の枠組みに加えることで、全体的な分散効果や信用力が高まる可能性があります。

アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因:図表 1

2025年6月30日までの年初来リターンを見ると、米国債(iBoxx 米ドル建て米国債指数に基づく)は3.77%の上昇にとどまっており、当社の主要なアジア現地通貨建て債券指数をアンダーパフォームしています(図表1参照)。iBoxx アジア債券ファンド(ABF)汎アジア指数(米ドル・ベース、為替ヘッジなし)は、8つのアジア現地通貨建て市場のソブリン債及び準ソブリン債で構成されており1、年初来で8.13%上昇しています。iBoxx アジア現地通貨建て債券指数(ALBI、米ドル・ベース、為替ヘッジなし)は、10のアジア市場のソブリン債及び準ソブリン債(約95%)を中心に構成されており2、年初来で7.66%上昇しています。オーストラリアと日本の債券市場(S&P/ASX iBoxxオーストラリア国債及び州政府債指数(米ドル・ベース、為替ヘッジなし)及びiBoxx グローバル国債・日本指数(米ドル・ベース、為替ヘッジなし))は年初来でそれぞれ9.60%、6.40%上昇しており、ともに米国債をアウトパフォームしています。

分散投資の観点から見たパフォーマンス

アジアとアジア太平洋地域の現地通貨建て債券市場を下支えする要因:図表 2

過去10年間にわたり、アジア太平洋地域の現地通貨建て債券指数は米国債との相関が低~中程度にとどまっています(図表2参照)。したがって、これらの指数をベンチマークとする投資商品を組み入れることで、ポートフォリオの分散効果を高められる可能性があります。iBoxx アジア現地通貨建て債券指数(ALBI)とiBoxx アジア債券ファンド(ABF)汎アジア指数はいずれも、iBoxx 米ドル建て米国債指数との相関が約0.50にとどまっています。オーストラリア国債(0.45)や日本国債(0.43)については、iBoxx 米ドル建て米国債指数との相関がさらに低くなっています。

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指数プロバイダーのブランドとコンテンツ力を活かした商品マーケティング戦略

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Brandon Hass, CIMA

Global Head of Client Solutions Group, Direct Indexing and Model Portfolios

S&P Dow Jones Indices

指数プロバイダーは、透明性の高いルールに基づいたベンチマークを開発・維持することにより、長年にわたり金融市場で重要な役割を果たしてきました。しかし近年では、単なる指数データの提供にとどまらず、自社のブランド力や教育コンテンツを活用し、資産運用会社やウェルス・マネージャーの商品マーケティング戦略を支援する役割も期待されています。

Cerulli Associatesの新しいホワイトペーパーによると 、投資家が利用可能な投資商品が膨大に存在し、ウェルス・マネジメント業界で企業の整理統合が進む中で、資産運用会社は自社商品の差別化を図り、販売を促進することが一段と難しくなっています。こうした課題に対応するため、ウェルス・マネージャーや資産運用会社は、指数プロバイダーの確かなブランドやコンテンツ力を活用することにより、自社商品のマーケティング能力を強化できる可能性があります。

指数のブランドが重要な理由

Cerulli Associatesが最近行った調査によると、ファイナンシャル・アドバイザーは、パッシブ運用商品やセパレートリー・マネージド・アカウント(SMA)が連動対象とする指数のブランドに注目していることが分かりました。

上場投資信託(ETF)に関してCerulli Associatesが行った調査では、回答したアドバイザーの半分以上(56%) が、ファンドが連動対象とする指数を評価する際に最も重視する要素の一つとして、「指数プロバイダーのブランド」を挙げています(図表1参照)。

指数プロバイダーのブランドとコンテンツ力を活かした商品マーケティング戦略: 図表 1

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投資家の期待値と市場アノマリー

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Joseph Nelesen, Ph.D.

Head of Specialists, Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

世界金融危機が深刻化した2008年において、私の同僚は次のように述べました。「下落幅を抑えるという特性こそが、長期的に好調なパフォーマンスをもたらす。」この見方は彼だけのものではありませんでした。つまり、多くの市場や指数が一斉に下落した当時の相場環境において、相対的に良好なパフォーマンスを示した投資対象が注目を集めたのは当然であると言えます。当時、底堅いパフォーマンスを示した指数の一つがS&P 500® 低ボラティリティ指数(以下、「低ボラティリティ指数」という)でした。

あれから20年近くが経過した現在でも、低ボラティリティ指数は市場の下落局面で底堅いパフォーマンスを示しています。実際に、2025年の市場急落時においても同様の傾向が見られました(図表1参照)。

投資家の期待値と市場アノマリー: 図表 1

これは特に珍しいことではありません。低ボラティリティ指数は、市場の下落局面で損失を抑えながらも、上昇相場に追随してきた実績があり、この特性は一般に「低ボラティリティ・アノマリー」と呼ばれています。研究者が低ボラティリティ・ファクターのパフォーマンスを「アノマリー」と呼ぶのは、リスクとリターンの間に正の相関関係が存在するという従来の金融理論に反するためです。リスクとリターンの関係が成り立たないのは、低リスク銘柄の株価が過小評価される一方、高リスク銘柄の株価が過大評価される傾向があるためです。これは、投資家の行動や、構造的及び経済的要因が複合的に絡み合っていることによるものと考えられます。

低ボラティリティ指数は2025年3月末までの25年間において、The 500を下回るリスク水準を維持してきました。具体的には、低ボラティリティ指数の年率ボラティリティは11.6%であり、The 500の15.3%を下回っており、ベータ値も0.7と低く抑えられています。低ボラティリティ指数のボラティリティとベータ値が低いのは、市場全体の値動きによる影響を受けにくいためです。さらに、低ボラティリティ指数は、市場の上昇局面で一定のリターンを確保しつつ、市場の下落局面では損失が抑えられるという特徴があります。図表2では、2025年3月末までの25年間のデータに基づき、The 500の上昇局面と下落局面における低ボラティリティ指数の月次キャプチャー・レシオを示しています。

投資家の期待値と市場アノマリー: 図表 2

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名称のみの変更:S&P 500 ESG指数からS&P 500スコアリング&スクリーニング指数へ

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María Sánchez

Director, Sustainability Index Product Management, U.S. Equity Indices

S&P Dow Jones Indices

過去10年間においてサステナブル投資に対する関心が高まる一方で、グリーンウォッシングのリスクに対する懸念も高まっています(グリーンウォッシングとは、環境に配慮しているように見せかける行為)。S&P DJIは、欧州証券市場監督局(ESMA)が新たに公表したファンド名称に関するガイドラインに基づき、S&P 500® ESG指数の名称をS&P 500スコアリング&スクリーニング指数に変更することを発表しました。なお、このESMAのガイドラインは、ESGや持続可能性に関連する用語をファンドの名称に使用する際の指針を定めたものであり、S&P DJIに直接適用されるものではありません。

S&P 500スコアリング&スクリーニング指数:同じメソドロジーを使用し、名称のみを変更

S&P 500スコアリング&スクリーニング指数の目標はこれまでと変わりません。この指数は、特定のサステナビリティ基準を満たす証券のパフォーマンスに連動する一方で、S&P 500と同様のセクター・ウェイトを維持するように設計されています。

指数の名称は変更されましたが、指数のメソドロジーに変更はありません。構成銘柄の選択基準や除外基準はこれまで通りであり、ベンチマークとしての一貫性が維持されています。

  • この指数では様々な適格性基準を設けています。具体的には、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の原則や、S&Pの利害関係者分析(MSA)、さらには企業活動などに基づくスクリーニングを行った上で、S&P グローバルESGスコアを用いて構成銘柄の選択と除外を行います。この指数では、S&P 500の各産業グループ内で時価総額の75%をカバーすることを目標に、S&P グローバルESGスコアの高い順に企業を選択し、これによってS&P 500と同様のセクター・ウェイトを維持することを目指します。

名称のみの変更:S&P 500 ESG指数からS&P 500スコアリング&スクリーニング指数へ: 図表 1

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S&P 500を構成するセクターのパフォーマンス分析

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Joseph Nelesen, Ph.D.

Head of Specialists, Index Investment Strategy

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

多様な資産クラスや地域をカバーする数多くの指数が開発されていますが、投資判断において各セクターの動向を把握することは引き続き重要な要素となっています。世界中のテレビ局のスタジオから、各国証券取引所のトレーディング・フロアに至るまで、世界産業分類基準(GICS®)の11セクターは広く認知され、議論の対象となっています。このことは、市場動向や経済の方向性を示す指標として、GICSセクターの有用性が広く認められていることを示しています。S&P 500®は、米国に本社を置きながらもグローバルに事業展開する企業で構成されており、GICSセクターは各業種の動向を分析・把握する上で重要な役割を果たしています。

昨年は米大統領選挙の年であったことから、11月と12月には各セクター間のパフォーマンス格差が大きく拡大しました。今年1月に入っても、各セクターの動向を見極め、投資配分を戦略的に調整することが重要な局面となりました。図表1では、S&P 500と、S&P 500を構成する各GICSセクターの1月のパフォーマンスを示しています。1月には、セクター間のスプレッド(最もパフォーマンスの高いセクターと最もパフォーマンスの低いセクターのパフォーマンス格差)が12%に達し、昨年11月から3ヵ月連続で2桁台を記録しました。情報技術セクターだけがマイナスとなり、2.9%下落しました。この下落の主な要因は、生成AI業界に新たな企業が参入し、競争環境が一変したことによるものであり、たった1日で情報技術セクターの2銘柄の時価総額が約8,000億ドルも失われる事態となりました。

S&P 500を構成するセクターのパフォーマンス分析: 図表 1

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