Centrifuge及びS&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
エグゼクティブ・サマリー
S&P 500は、米国大型株の動向を表す最良の単一尺度として広く認められており、機関投資家のポートフォリオの中核を成すとともに、世界中の市場参加者にとって信頼されるベンチマークとなっています。このベンチマークは現在、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)からライセンス供与を受けたデータを用いて、Centrifugeの「Proof-of-Index」の枠組みを通じて構築され、オンチェーンで利用可能となっています。
S&P 500のトークン化は、機関投資家によるデジタル資産の活用が次の段階へと進む上での重要な一歩です。CentrifugeのProof-of-Indexインフラにより、S&P 500は検証可能かつプログラム可能で、信頼性の高い形で利用できるようになります。これにより、S&P DJIが担うガバナンスの整合性を維持しつつ、機関投資家は商品の開発や投資戦略の策定を新たな形で行うことが可能となります。
S&P 500をオンチェーン化することにより 、日時情報を示すタイムスタンプ付きで、監査可能かつプログラム可能なインプットとして、幅広い商品や投資戦略に活用できるようになります。ライセンス供与を受けた資産運用会社は、S&P DJIが算出する指数の厳格性と基準を損なうことなく、デジタル市場のインフラに適合した形式で、S&P 500を参照・活用することが可能となります。
S&P DJIは毎日、正式な指数構成に基づいて生成された暗号学的コミットメント(検証可能なハッシュ値/フィンガープリント)を公表します。その後、S&P 500に連動するファンドは、保有ポートフォリオから算出したコミットメントをオンチェーン上に公開します。これにより、各ファンドは保有銘柄の内訳を開示することなく、保有銘柄の内訳が正式な指数構成と暗号学的に一致していることを証明できます。
これにより、S&P 500と、それを基盤として構築されるライセンス取得済みの投資商品との間に、検証可能な結びつきが確立されます。その結果、投資商品がS&P 500に連動しているという信頼性を担保しつつ、ファンドの保有ポートフォリオの機密性も保持されます。
市場参加者にとって、Proof-of-Indexインフラの効果は即座に現れます。市場参加者は、世界で最も広く認知された株価指数を基盤として、ライセンス供与を受けたオンチェーン投資商品を構築できるようになります。その結果、より迅速かつ透明性の高い運用を実現するとともに、投資商品の新たな販売・提供チャネルを開拓することが可能となります。より広い視点では、この取り組みは、ライセンス供与を受けた他の指数にも拡張可能なインフラを確立するものであり、マルチアセット・ポートフォリオの構築や、デジタル市場におけるイノベーションを後押しします。
したがって、S&P 500がオンチェーンで利用できるようになったことは、今後起こり得る変化を示す重要なシグナルだと言えます:すなわち、資本市場のデジタル化に対応したインフラの下で指数が利用可能となる未来像を示しています。
ベンチマークをトークン化する理由
The 500™(S&P 500)のトークン化は、投資環境における重要な進化を示しています。特に、投資家ニーズの変化に対応しようとする市場参加者にとって、その意義は大きいと言えます。S&P 500は、世界で最も広く参照されている株価指数であり、米国株式市場の時価総額の約80%、及び世界の株式市場の投資可能な時価総額の50%超をカバーしています 。したがって、オンチェーン投資のメリットを示す上で、S&P 500は重要な役割を果たしていると言えます。
ETFやミューチュアルファンドといった伝統的な金融商品は、旧来の金融インフラの仕組みに合わせて設計されているため、様々な制約を受けてきました。その最たる例がT+2の決済サイクル(約定日から2営業日後に決済される仕組み)であり、これは取引の最終確定を遅らせるとともに、資金を拘束するものとして批判されてきました。こうした非効率的な取引慣行により、市場へのアクセスが制限され、市場全体の効率性が低下する恐れがあります。これに対して、トークン化された指数であれば、プログラム可能でリアルタイムかつグローバルに、株式市場の値動きに連動する投資を行うことができます。トークン化を採用することで、金融サービス業界は24時間365日の流動性、取引の自動化、持分の少額単位での保有、そしてコンポーザビリティ(他の仕組みやサービスと組み合わせ可能な性質)といった特性を提供できる可能性があります。これらの特性は、現代の市場参加者のニーズと強く合致しています。
S&P 500をトークン化することの意義は、S&P 500に連動する投資商品にアクセスしやすくなるというだけではなく、金融の将来像を見据えた戦略的な取り組みだと言えます。S&P 500は、規模が大きくかつ流動性が高い取引基盤を支えています。S&P 500をベンチマークとする運用資産は約20兆ドルに上り 、S&P 500に連動する投資商品の指数換算取引量(IET)は1年間で約273兆ドルに達しています 。その結果、トークン化された指数は投資戦略のあり方を大きく変える可能性があります。この革新的なアプローチは、投資商品の流動性やアクセスのしやすさを高めるだけでなく、投資商品の新たなスタンダードになる可能性を秘めています。