市場概況(2021年~現在)
国際的な投資家は長期にわたりアジアの米ドル建てハイ・イールド債券市場を米国の伝統的なハイ・-ルド債券市場の代替的な投資ユニバースと捉えています。結果として、ジャンク債市場は大きな成長を遂げており、2012年~2020年において発行総額は約6倍に増加しました。しかし、アジアのハイ・イールド債券市場では、主に中国の不動産市場への大きなエクスポージャーにより、ここ12ヵ月~18ヵ月においてやや混乱が見られます。ここ10年間において、中国の不動産会社は安いコストで大量の債券を発行し、事業資金を調達しました。中国の規制当局が新たな規則を導入し、金融システムに対してレバレッジ解消を促したことから、こうした状況が変化しました。一方、不動産会社は流動性の確保に向けて在庫を売却することができなかったため、不動産セクターでは流動性危機が生じ始めました。売上高で中国第2位の不動産開発会社である中国恒大集団は2021年9月、米ドル建て債務の利払いを行うことができませんでした。それ以降、多くの有名な企業が中国の不動産セクターの危機に巻き込まれました。「iBoxx 米ドル建てアジア ハイ・イールド債(中国不動産セクター、日本を除く)」の中で2021年4月時点の時価総額が上位5つの発行体が、ここ12ヵ月において米ドル建て債務の利払いを行うことができませんでした。
2022年5月31日現在、「iBoxx 米ドル建てアジア・ハイ・イールド社債(日本を除く)」の中で12以上の異なる中国の不動産会社が、米ドル建て債務の利払いを行うことができておらず、この指数から除外された発行額合計は350億ドルを超えました。