コンテンツリスト

金融政策の転換局面におけるS&P 500高配当指数の魅力を検証する

算出開始から1年:S&P クオリティFCF貴族指数は好調なパフォーマンスを維持

配当利回りの高い優良企業に着目:S&P 500クオリティFCF高配当指数の紹介

S&P® クオリティFCF貴族®指数の拡充 ― 米国の中型株及び小型株を対象とした指数を追加

トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代

金融政策の転換局面におけるS&P 500高配当指数の魅力を検証する

Contributor Image
George Valantasis

Director, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

新学期の始まりや気温の低下など、9月は季節の節目であり、しばしば「変化の月」として受け止められます。今年は、この「変化の月」という見方を裏づける新たな要因が加わりました。米連邦準備制度理事会(FRB)は2025年9月17日、フェデラル・ファンド金利の誘導目標を4.00~4.25%に引き下げ、2024年12月以降で初めて金融政策を変更しました。今回の利下げに加え、市場は年内の追加利下げを織り込んでいます。こうした環境下において、S&P 500®高配当指数のような高配当利回り戦略は、市場参加者の高い関心を集める可能性があります。

金融緩和が株価の下支え要因となる中で、S&P 500高配当指数は現在、S&P 500(The 500™)と比べてバリュエーションが非常に割安であることに加え、高い配当利回りを提供しています。本稿では、これらの要素について考察するとともに、S&P 500高配当指数とThe 500の長期パフォーマンスを比較し、特に過去の株価下落局面における両指数の値動きを検証します。また、両指数のセクター・ウェイトについても分析します。

パフォーマンス比較

図表1では、S&P 500高配当指数とThe 500の1991年1月以降のパフォーマンスを比較しています(S&P 500高配当指数のパフォーマンスについては、バックテストの結果に基づいています)。全期間で見ると、S&P 500高配当指数の年率リターンが11.24%であるのに対し、The 500の年率リターンは11.11%にとどまっており、S&P 500高配当指数がThe 500を0.13%アウトパフォームしています。また、図表1に示されている通り、S&P 500高配当指数のアップサイド・キャプチャー(上昇局面での追随)が89.95である一方、ダウンサイド・キャプチャー(下落局面での耐性)は79.15となっています。つまり、S&P 500高配当指数は市場の上昇局面でThe 500に近いパフォーマンスを維持しつつ、下落局面では相対的に下げ幅が抑えられていることが分かります。

金融政策の転換局面におけるS&P 500高配当指数の魅力を検証する: 図表 1

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

算出開始から1年:S&P クオリティFCF貴族指数は好調なパフォーマンスを維持

Contributor Image
Elizabeth Bebb

Director, Factor & Dividend Indices

S&P Dow Jones Indices

S&P クオリティFCF貴族指数は2024年9月23日に算出を開始した指数であり、一定の年数にわたり潤沢なフリーキャッシュフロー(FCF)を創出している企業のパフォーマンスに連動します。FCFとは、営業コストや設備投資などの必要経費を賄った上で手元に残る余剰資金であり、企業のクオリティを測定する有効な指標となります。

S&P クオリティFCF貴族指数は当初、S&P 500をユニバースとするS&P 500®クオリティFCF貴族指数と、S&P 先進国大中型株指数をユニバースとするS&P 先進国クオリティFCF貴族指数の2本でスタートしました。両指数の構成銘柄は、少なくとも10年連続でプラスのFCFを生み出している必要があります。両指数は、算出開始から1年間及び2025年の年初来において、それぞれのベンチマークをアウトパフォームしています。S&P 500クオリティFCF貴族指数は、関税ショックによる市場の下落局面において、ベンチマークを大幅にアウトパフォームしました。一方、S&P 先進国クオリティFCF貴族指数は、各国・地域の経済環境下で株価が異なる反応を示す中で、ベンチマークと比べて下げ幅がやや大きくなりました。

算出開始から1年:S&P クオリティFCF貴族指数は好調なパフォーマンスを維持:図表 1

両指数は長期にわたり(仮説に基づくバックテスト期間を含む)、それぞれのベンチマークを一貫してアウトパフォームしており、絶対リターン・ベースで高いパフォーマンスを示すとともに、リスク調整後リターン・ベースでも優れた結果を残しています。

算出開始から1年:S&P クオリティFCF貴族指数は好調なパフォーマンスを維持:図表 2

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

配当利回りの高い優良企業に着目:S&P 500クオリティFCF高配当指数の紹介

Contributor Image
George Valantasis

Director, Factors and Dividends

S&P Dow Jones Indices

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが最近算出を開始したS&P 500®クオリティFCF高配当指数は、潤沢なフリーキャッシュフロー(FCF)を生み出している高配当銘柄のパフォーマンスを測定する指数であり、(投資家の)配当収入の確保と(企業の)財務の健全性を重視するアプローチを採用しています。余剰キャッシュを安定的に生み出している企業は、市場が混乱する局面においても、配当を維持・増額する余力が相対的に大きいと考えられます。高い配当収入と潤沢なFCFに着目することで、相対的に利回りが高く、より健全で信頼性の高い企業を見極めることができます。本稿では、S&P 500クオリティFCF高配当指数の算出メソドロジー、パフォーマンス特性、配当利回り、及び投資戦略としての位置づけについて検証します。

指数メソドロジーの概要

この指数ではまず、「少なくとも5年連続で配当を支払っている」という条件を満たしていない企業を除外します。次に、上記の条件を満たしている企業について、FCFマージンとFCF投下資本利益率(ROIC)を組み合わせたFCFスコアを算出し、このスコアに基づいて各銘柄をランク付けします。これらの指標は、売上高がどれだけ効率的にFCFへと転換されているか(FCFマージン)、また投下資本をどれだけ有効に活用してFCFを創出しているか(FCF ROIC)を測るものです。各セクター内でFCFスコアが高い上位50%の企業を選択することで、指数におけるセクター配分の偏りを抑え、幅広い分散を確保します。この採用候補銘柄の中から、配当利回りが高い上位100社を選択し、配当利回りに基づいてウェイトを設定します。図表1は指数メソドロジーの概要を示しています。

TalkingPoints:20周年を迎えたiBoxx ABF指数: 図表 1

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

S&P® クオリティFCF貴族®指数の拡充 ― 米国の中型株及び小型株を対象とした指数を追加

Contributor Image
Wenli Bill Hao

Director, Factors and Dividends Indices, Product Management and Development

S&P Dow Jones Indices

フリーキャッシュフロー(FCF)に基づいて企業の質を評価することは、財務基盤が強固な企業を見極める上で有効な手段であると言えます。企業利益については、会計処理の方法次第では経営状況を正しく反映しない場合がありますが、フリーキャッシュフローは、必要な経費や設備投資を差し引いた後の余剰キャッシュを表すため、企業のキャッシュ創出能力をより明確に示すことができます。

当社が今年発行したレポートでは、S&P 500®を構成する大手企業を対象に、このアプローチ(フリーキャッシュフローに基づいて企業の質を評価する手法)が有効であることを示しました。中小型株のカテゴリーでは、企業業績の変動が大きく、情報開示の透明性も低い場合があるため、フリーキャッシュフローを活用することは、持続的な成長が見込まれる企業を見極める上で一層有効であり、ダウンサイド・リスクを低減する効果も期待できます。

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスは2025年7月28日、S&P® クオリティFCF貴族®指数シリーズを拡充し、S&P® 中型株400®クオリティFCF貴族®指数及びS&P® 小型株600®クオリティFCF貴族®指数を新たに追加しました。本ブログでは、これら2つの指数と、S&P® クオリティFCF貴族®指数について、その設計、パフォーマンス、及びセクターとファクターの特性を解説します。

指数の設計

S&P® クオリティFCF貴族®指数 は、フリーキャッシュフローを安定的かつ効率的に創出している優良企業で構成されています。この指数に採用されるには、一定年数以上にわたり連続でプラスのフリーキャッシュフローを計上していることが第一条件となります。この候補群の中から、フリーキャッシュフロー・マージン1とフリーキャッシュフロー投下資本利益率(ROIC)の平均値が高い上位銘柄を選択します。次に、浮動株調整後時価総額にフリーキャッシュフロー・スコアを乗じた値に基づき、各銘柄の組入比率を決定します(図表1参照)。

S&P® クオリティFCF貴族®指数の拡充 ― 米国の中型株及び小型株を対象とした指数を追加:図表 1

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする

トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代

Contributor Image
Stephanie Rowton

Senior Director, Tokenization and U.S. Equities

S&P Dow Jones Indices

  • この記事に含まれる指数 S&P 500

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス(S&P DJI)は2025年7月、ブロックチェーン技術を活用した分散型インフラを提供するCentrifugeと戦略的提携を行い、トークン化市場1に参入することを発表しました。この提携は、デジタル・トークンの発行に向けてS&P DJIが指数データをライセンス供与する初めての事例です。これにより、S&P DJIはS&P 500®をオンチェーン化し、トークン化市場における重要な一歩を踏み出すことができます。このトークン化という最先端技術により、投資家と金融機関の両方に新たな機会がもたらされる可能性があり、取引プロセスの効率化、流動性の向上、及びイノベーションの促進といったメリットが期待できます。トークン化資産の市場規模(ステーブルコインを除く)2は2025年7月30日現在で推定250億ドルに上っており3(図表1参照)、2030年までには1兆~4兆ドルに拡大する見通しです4(図表2参照)。このことは、金融業界においてトークン化技術の重要性が高まっていることを示しています。

トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代:図表 1

トークン化の可能性を探る:伝統的な資産に訪れる新時代:図表 2

トークン化とは?

トークン化とは、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術(DLT)を用いて、資産に対する権利をデジタル・トークンとして発行する仕組みです。これにより、トークンの保有者は資産の権利を取引・移転することが可能となります。例えば、債券や株式などの金融資産だけでなく、不動産や美術品といった実物資産もトークン化することができます。

トークンは、その資産が何であるかを定義すると同時に、その資産をどのように利用できるかを規定する役割も持ちます。さらに、トークン化技術により、資産の分割所有が可能となるため、投資家は資産全体ではなく一部のみを保有することもできます。その結果、より幅広い投資家層に投資機会が開かれることになります。ブロックチェーン技術を活用して資産をトークン化することで、取引の透明性を高め、運用業務を効率化することができます。これにより、従来型の資産運用に伴う人為的ミスなどのリスクを軽減できる可能性があります。

pdf-icon PD F 全ての記事をダウンロードする