個人的見解: 七面鳥も用意され、感謝祭のお祝いムードが広がる。これはトンネルの出口に見える明るい光?それとも対向列車のライト?
今年の感謝祭は期待と歓喜に満ち溢れたものでした。期待が示すのは米連邦準備制度理事会(FRB)が経済の”減速”を確認して、利上げペースを緩める可能性があること、歓喜は S&P500 指数が 11 月に 5.38%上昇し(消費者物価指数(CPI)の下落を受けて 11 月 10 日は 5.54%上昇、11 月 30 日もパウエル議長の発言を好感して 3.09%上昇)、10 月12 日の直近安値からの上昇率が 14.06%に達したことです。この上昇は(料理の時に食材を詰め込む)七面鳥のように資金を詰め込み過ぎたからですが(11 月の米国株式市場(5.08%上昇)は海外市場(11.12%上昇)をアンダーパフォームしたにもかかわらず、資金流入が再び勢いづいてきました。とはいえ、海外に投資先をシフトする前に過去 3 年間のリターンに注目してください。米国は 27.71%上昇しましたが、米国を除いた世界の株式市場は 1.53%下落しました)、我々(投資家)は七面鳥のようにさえない市場の動きを(年初来、すなわち 2022 年の取引開始日に付けた最高値からの騰落率は 14.39%下落)を引き続き恐れています。
今年のブラックフライデー(例年この日に小売業者の業績が赤字から黒字に転換します) は、恒例のセールが開催され、客足が戻ってきました。消費者の購買意欲がまだ衰えていない(とはいえ、これまで以上に選別志向を強めています)ことから、こうした大規模セールが必要とされたというよりも、小売り業者側に販売サイクルの狂いが生じたために(配送の遅れ、事前発注の混乱…)特定の商品を割引販売する必要性があったといえるでしょう。我が家独自の購買指数に関して言えば、妻と娘は 18 回目となるブラックフライデーのショッピングに果敢に繰り出して行きました(昨年同様、今年も 10 時に SoHo から買い物をスタートしました。早朝 5 時に百貨店のメイシーズやミッドタウンに行列ができていた日々はもはや過去のものとなりました)。彼ら (とレシート)によると、昨年よりも買い物客は多く、購入量も増えましたが、コロナ危機前ほどではありませんでした。(彼らの話を聞くと)今年のセール内容は予想よりも良かったようです。小売業者(小売業協会やクレジットカード会社)が発表した公式の集計データによると、売上高は前年比2.3%増で過去最高の 91 億ドルとなりました。しかし物価の上昇を考慮すると、過去最高となったのは値上がりによるもので、販売数量が増えたわけではありませんでした。また、 サイバーマンデーの売り上げは、速報値で 116 億ドルと、2021 年の 107 億ドル(これは 2020 年から 1.4%減少)から増加しました。
12 月(そして待望の株式市場のクリスマスラリー)に関して言えば、レイムダック化(これ以外にも議会を評する形容詞を数多く思い付くことができます)した議会が仕事に取り掛かる必要があります (下院に関しては開票作業が終了する必要がありますし、上院については有権者は投票を済ませる必要があります[12 月 6 日のジョージア州の決選投票])。一部の政府機関がつなぎ予算の期限を迎える 12 月 16 日まで閉鎖されないで済むのであれば(そうなることに一縷の望みを託しています)、年内に採決しなければならない議案は国防予算を含む歳出法案です。現在点では、法案が議会通過するためには超党派での合意(政治家にとっての美徳)が必要となります。審議や採決の遅れは経済の停滞につながります。これは FRB にとっては好都合ですが、企業業績や経済には打撃となります。一部(の民主党議員)が債務上限(現時点では 31.4 兆ドル。S&P 500 指数の時価総額は 34.3 兆ドル)の引き上げを要求することも考えられ、終了が予定されているメディケア関連の助成金の延長を求める動きもありますが、実現の可能性は低いようです。株式市場の観点から言えば、大手企業は 2017 年に成立したトランプ減税の一部時限措置の期限が迫ることから、その延長を働きかけています (法人税の控除)。対象となる 2023 年の税額は 1,000 億ドルと見積もられていますが、企業は(研究開発費の償却と金利支払い控除の上限を念頭に置いて)ロビー活動を展開しています。EU は 12 月 5 日からロシア産原油の輸入を禁止する予定ですが (2023 年 2 月 5日以降は石油製品の輸入も禁止)、ロシアの輸出先はすでに中国、インド、トルコにシフトしています。ロシアのウクライナ侵攻が始まる前までは、ロシアの石油輸出の半分を EU が占めていました。なお、禁輸措置が始まる前日の 12 月 4 日には OPEC プラスによる会合が予定されています。
過去の実績を見ると、11 月は 60.6%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 4.00%、下落した月の平均下落率は 4.16%、全体の平均騰落率は 0.83%の上昇となっています。2022 年 11 月のS&P500 指数は、5.38%の上昇となりました。
12 月は 73.4%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 2.97%、下落した月の平均下落率は3.08%、全体の平均騰落率は 1.36%の上昇となっています。
今後の米連邦公開市場委員会 FOMC のスケジュールは、2022 年 12 月 13 日-14 日、2023 年は 1月 31 日-2 月 1 日、3 月 21 日-22 日、5 月 2 日-3 日、6 月 13 日-14 日、7 月 25 日-26 日、9 月 19日-20 日、10 月 31 日-11 月 1 日、12 月 12 日-13 日、となっています。
S&P500 指数は 11 月に 5.38%上昇して 4,080.11 で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス 5.59%)。10 月は 3,871.98 で終え、7.99%の上昇(同プラス 8.10%)、9 月は 3,585.62で終え、9.34%の下落(同マイナス 9.21%)でした。過去 3 カ月では 3.16%上昇(同プラス3.63%)、年初来では 14.39%の下落(同マイナス 13.10%)、過去 1 年間では 10.66%下落(同マイナス 9.21%)、2022 年 1 月 3 日の最高値からは 14.97%の下落(同マイナス 13.66%)、コロナ危機前の 2020 年 2 月 19 日の高値からは 20.49%上昇(同プラス 26.02%)でした。ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は 11 月に 5.67%上昇して 34,589.77 で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス 6.04%)。10 月は 32,732.95 で終え、13.95%の上昇(同プラス14.07%)、9 月は 28,725.51 で終え、8.84%の下落(同マイナス 8.76%)でした。2022 年 1 月 4日の最高値(36,799.65)からは 6.01%下落しました。過去 3 カ月では 9.77%上昇(同プラス10.36%)、年初来では 4.81%の下落(同マイナス 2.89%)、過去 1 年間では 0.31%上昇(同プラス 2.48%)しました。