S&P Kenshoニュー・エコノミー指数は、第四次産業革命を牽引する産業とイノベーションの動きを捉える
不透明なマクロ環境を背景に、株式市場と債券市場が軟調に推移する中で、S&P Kenshoニュー・エコノミー指数の多くのサブセクターが厳しいパフォーマンスとなりました。S&P 500®は2022年第2四半期に下落基調で推移した後、第3四半期前半に反発しましたが、後半には前半の上昇分を全て吐き出す展開となり、9月末にかけて年初来安値を更新しました。これにより、S&P 500は3四半期連続でマイナス・リターンとなりました(3四半期連続のマイナス・リターンは2009年以降で初めて)。インフレ率の高止まりを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融引き締めを継続する姿勢を示しました。実際に、FRBは1980年代以降で最も急速なペースで利上げを行い、フェデラル・ファンド金利は2008年以降で最も高い水準となりました。その結果、米国の債券市場は1980年代以降で最大の下落に見舞われ、世界各国の債券市場も軟調な展開となりました。
株式市場と債券市場が軟調な展開となった一方で、米ドルは2022年第3四半期に入っても堅調に推移し、過去最長の上昇局面となりました。米ドル高を受け、新興国株式は(米ドル建てで)大幅な下落となり、新興国の中央銀行の金融政策にも影響が及んだ可能性があります。全体的に見て、不透明なマクロ環境(主要国の金利、原油価格、及びインフレなど)が続いているため、短期的には市場心理が悪化しているように思われます。一方、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、エネルギー価格への影響が注目される中で、S&P Kenshoニュー・エコノミー指数のエネルギー関連のサブセクターは前四半期に続いて堅調なパフォーマンスとなりました。
ニュー・エコノミーにおけるパフォーマンス上位3位のサブセクター
クリーン・エネルギー(13.1%):このサブセクター(KENERGY)は、クリーン・エネルギー生産技術に特化した企業を中心に構成されており、7月後半から8月初めにかけて大幅に上昇(約45%)しました。米上院で気候変動対策法案が可決され、二酸化炭素排出量削減対策や米国のクリーン・エネルギー産業への支援として3,000億ドル以上の予算が配分されたことが好感されました。ただし、インフレ率の高止まりを背景に株式市場が8月半ばに反落する中で、このサブセクターもこれまでの上昇分を一部吐き出す展開となり、四半期全体では13%の上昇となりました。このサブセクターを構成する33銘柄の内、18銘柄が第3四半期のリターンにプラス寄与となり、特に太陽光エネルギー会社が堅調なパフォーマンスとなりました。ファースト・ソーラーの株価は当四半期に94%上昇し、ここ10年で最高の水準に達しました。8月に成立した気候変動対策法では米国の太陽光パネルメーカーが優先的に支援されることとなり、これが株価の上昇要因となった可能性があります。アレイ・テクノロジーズの第2四半期の売上高は堅調な伸びを示し、同社の収益はアナリストのコンセンサス予想を上回りました。また、マキシオン・ソーラーの株価は当四半期に78%上昇し、年初来高値を更新しました。一方、中国の太陽光発電メーカーであるダコやジンコソーラーは当四半期に大幅にアンダーパフォームしましたが、それでも年初来ではプラスのパフォーマンスを維持しています。