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マーケット分析レポート S&P 500 2023年1月

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年1月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2022年12月

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2022年12月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2022年11月

マーケット分析レポート S&P 500 2023年1月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 1 月

個人的見解: 低調な企業業績、だがそこまでは悪くはない

年明けから始まった 2022 年第 4 四半期の業績発表(時価総額の 44.4%に相当する企業が発表を終えました)からも分かる通り、とりわけ請求書(給与、設備投資資金、配当。さらに自社株買いという声も聞かれます)を処理する立場にある場合、財務状態(まずは利益、次にキャッシュフロー)を把握することが正しい事のように思われます。実際の第 4四半期の企業利益は好調ではありませんでしたが、ウィスパーナンバー(あるいは懸念された)ほど悪くはありませんでした。最終的に第 4四半期の営業利益は前期比 2.7%増が見込まれています(過去最高を記録した 2021 年第 4 四半期から 8.8%減少。なお、2021 年末の S&P500指数は 4,766)。実際の売上高は企業のコスト増(といくらかの追加利益)を転嫁する能力が低下していることを示しています。2022 年第 4四半期の売上高は過去最高となった第 3 四半期(この時期は消費者の購買意欲が旺盛で、「リベンジ消費」なる言葉が生まれました)を僅かに上回る(0.9%増)見通しです。業績は(相対的には)それほど悪くはありませんが、明らかに半数以上の企業の最高経営責任者(CEO)は今後の困難な状況、利益率の悪化(第 4 四半期の営業利益率は11.48%と、1993 年以降の平均である 8.29%を依然として大幅に上回っています)、および消費者の買い控えについて警告を発しています(心配は無用です。ワシントンでは重要プログラムである IRA(インフレ抑制法)や半導体産業を支援する CHIPS 法が重視されています。しかしこれらの財源はどうやって確保するのでしょうか)。特筆すべき(明るい)材料としては、CEO のコメントから長期悲観論が消え、現在の景気後退期を乗り越えることは可能との確信が示されたことがあります。こうした CEO の見解に後押しされ、米連邦準備制度理事会(FRB)の声明文に若干のタカ派色が残っているにもかかわらず、市場関係者の間では 2 会合連続で 0.25%ずつの利上げが行われるとの観測が優勢となっています。以上を勘案すると(かなりの確度で)、いずれ(下半期には)太陽が昇ってくると考えられます。株式市場では 4 年ぶりに 1 月の騰落率がプラスとなりました(6.18%上昇。2022 年 1 月は 5.26%下落、2021 年 1 月は 1.11%下落、2020 年 1 月は 0.16%下落)。実現確率 71%を誇るウォール街の格言「1 月の相場がその年の相場を決める」が示す通り、1 月の相場が順調であれば、その年の相場についても同じことが期待できます。2 月に関して言えば(今週後半から始まる)、1 日(水曜日)午後 2 時半からのパウエル議長の記者会見、2 日(木曜日)の取引終了後に行われる「トリプル A 株」(Apple、Alphabet、Amazon の 3社を指す。時価総額の 12.4%、2022 年第 3 四半期の企業利益の 8.1%を占める)の決算発表、そして 3 日(金曜日)の雇用統計(平均時給データを含む)の発表を乗り越えることが出来れば、(シングルモルトを楽しみながら)ゆっくりとくつろいで、資産配分の見直しを行う快適な週末を迎えることができるでしょう(弱気派であれば 4.5%を上回る安全資産の利回りは魅力的でしょう。リスク許容度が高く、十分な投資期間があるのであれば、足元の投資環境の変化は銘柄選択を行う上でこれまで以上に有望な投資機会を提供してくれる可能性があります)。

過去の実績を見ると、1 月は 61.7%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 4.20%、下落した月の平均下落率は 3.81%、全体の平均騰落率は 1.13%の上昇となっています。2023 年 1 月のS&P500 指数は、6.18%の上昇となりました。「1 月の相場がその年の相場を決める」という格言の実現率は 1929 年以降で 71.28%となっています(そして 2022 年はこの格言通りとなりました:1 月に下落し、通年でも下落しました)。取引初日の相場がその年の相場を決める確率はコイントスと同じ、50%です(2022 年は外れました。取引初日に終値で高値をつけ、それが終値ベースで年間の高値となりました)。

2 月は 53.2%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 2.88%、下落した月の平均下落率は3.45%、全体の平均騰落率は 0.09%の下落となっています。

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World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年1月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 2 月 1 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当なし。以下、全データについて同じ)によると、2023 年 1 月の全世界の株式市場は 7.26%の上昇となった。1 月は、先進国市場が 7.34%の上昇、新興国市場も 6.62%の上昇となった。また、先進国大型株は 6.94%の上昇、先進国小型株も 9.64%の上昇となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    1 月の国別パフォーマンス上位は、メキシコ、チェコ、オランダ、アイルランド、イタリアの順となった。米国市場はプラス 6.87%で 49 ヶ国中 24 番目となった(表 2 参照)。 1 月の円建てでの日本市場は、プラス 4.14%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 1 月の REIT 市場は 9.39%の上昇となった。国別のパフォーマンス上位は、フランス、オーストラリア、カナダ、米国、イギリスの順となった。日本の 1 月の REIT 市場は 2.16%の下落となった。米国の 1 月の REIT 市場は、10.47%の上昇だった(表 3 参照)。

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マーケット分析レポート S&P 500 2022年12月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

THE S&P 500 MARKET: 2022 年 12 月

個人的見解: 過ぎ行く年に別れを告げ、明日を夢見る

2022 年は株式市場にとってひどい 1 年となり、S&P500 指数は19.44%の下落と、2008 年(38.49%の下落)以来の下落率となりました。セクター別では年間リターンがプラスとなったのはエネルギーセクターのみでした(59.05%上昇。ただし公益事業の配当込みのトータルリターンはプラス 1.57% ―― 筆者は配当重視派です)。139 銘柄が値上がりし(平均上昇率は 22.21%)、363 銘柄が値下がりしました(平均下落率は 24.58%。全銘柄では平均 11.62%下落)。ここでも 2008年(値上がり銘柄数が僅か 25 銘柄)以来の悪い結果となりました(2008 年にリターンが最も高かったのは Family Dollar Stores で、35.57%上昇)。ボラティリティは大幅に上昇し、日中の高値と安値の変動幅が 1%以上となったのは 219 日(全営業日数の 251 日中)、これに対して 2021 年は 95 日でした。前日比で 1%以上変動した日数は122 日(上昇が 59 日、下落が 63 日)、これに対して 2021 年は 55 日(上昇が 34 日、下落が 21 日)でした。2022 年通年の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は 1.84%でした(2009 年の2.03%以来の高水準。ちなみに 2008 年は 2.81%)。これに対して2021 年は 0.97%でした(2019 年は 0.85%、2017 年は 0.51%と穏やかで、筆者がデータ収集を開始した 1962 年以来の最低でした)。時価総額は、S&P500 指数全体で 8 兆 2,200 億ドル減少し(32 兆 2,150 億ドルとなり)、情報技術セクターが 3 兆 4,900 億ドルの減少、エネルギーセクターは 5,890 億ドルの増加となりました。

2022 年の市場データは悪く、それ(あるいは痛み)を軽く見せたいとは思っていませんが、前年までは過去 3 年間で累計 90.13%上昇し(2021 年: 26.87%、2020 年: 16.24%、2019 年: 28.88%)、過去 5 年間では累計 112.89%上昇していました(2018 年: -6.24%、2017 年:19.42%)。「イベントはリアルタイムで起き」、そして市場は変化します。新型コロナウイルスの感染拡大で市場は 2020 年 2 月 19 日(当時の終値での高値)から 2020 年 3 月 23 日までに 33.93%下落しましたが、3 月のこの安値から 71.61%回復し、現在コロナ(の影響を受ける)前の 2 月 19 日の水準を13.39%上回っています。市場は長期的なものであり、そうしたアプローチを取る場合、2022 年は高値、安値、イベント、歴史を通じて解釈する必要があります(短期的な資産の再配分が助けとなる可能性はあるものの危険です ―― 市場のタイミングを見極めるのは相変わらず最も難しい仕事です)。

では 2023 年に私たちはどうすればよいのでしょうか? それが分かっているならお教えします(幾つかのトレードのすぐあとに)。筆者には幾つかの事柄が浮かんでいます(私見です)。企業利益が 1 月の市場の試金石になるでしょう。企業ガイダンスと消費者の支出(そしてシフト)が 2023 年の利益(およびキャッシュフロー)の見通しに役立つでしょう。2023 年に関しては、現在のボトムアップ分析で営業利益は 13.2%増と見込まれており(実現は難しそう)、2023 年予想株価収益率(PER)は 17.0 倍と高水準です(歴史的高水準)。「良き時代」は再びやって来ますが、利益予想に「遅れ」が生じれば相場上昇のタイミングは後れ、株価下落につながる可能性があります。

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World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2022年12月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 1 月 5 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当なし。以下、全データについて同じ)によると、2022 年 12 月の全世界の株式市場は 3.87%の下落となった。12 月は、先進国市場が 4.19%の下落、新興国市場も 1.19%の下落となった。また、先進国大型株は 4.27%の下落、先進国小型株も 3.74%の下落となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    12 月の国別パフォーマンス上位は、トルコ、香港、エジプト、ポーランド、デンマークの順となった。米国市場はマイナス 6.02%で 48 ヶ国中 44 番目となった(表 2 参照)。 12 月の円建てでの日本市場は、マイナス 4.83%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 12 月の REIT 市場は 4.06%の下落となった。国別のパフォーマンス上位は、香港、ベルギー、スペイン、アイルランド、フランスの順となった。日本の 12 月の REIT 市場は 1.64%の上昇となった。米国の 12 月の REIT 市場は、5.79%の下落だった(表 3 参照)。

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マーケット分析レポート S&P 500 2022年11月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

個人的見解: 七面鳥も用意され、感謝祭のお祝いムードが広がる。これはトンネルの出口に見える明るい光?それとも対向列車のライト?

今年の感謝祭は期待と歓喜に満ち溢れたものでした。期待が示すのは米連邦準備制度理事会(FRB)が経済の”減速”を確認して、利上げペースを緩める可能性があること、歓喜は S&P500 指数が 11 月に 5.38%上昇し(消費者物価指数(CPI)の下落を受けて 11 月 10 日は 5.54%上昇、11 月 30 日もパウエル議長の発言を好感して 3.09%上昇)、10 月12 日の直近安値からの上昇率が 14.06%に達したことです。この上昇は(料理の時に食材を詰め込む)七面鳥のように資金を詰め込み過ぎたからですが(11 月の米国株式市場(5.08%上昇)は海外市場(11.12%上昇)をアンダーパフォームしたにもかかわらず、資金流入が再び勢いづいてきました。とはいえ、海外に投資先をシフトする前に過去 3 年間のリターンに注目してください。米国は 27.71%上昇しましたが、米国を除いた世界の株式市場は 1.53%下落しました)、我々(投資家)は七面鳥のようにさえない市場の動きを(年初来、すなわち 2022 年の取引開始日に付けた最高値からの騰落率は 14.39%下落)を引き続き恐れています。

今年のブラックフライデー(例年この日に小売業者の業績が赤字から黒字に転換します) は、恒例のセールが開催され、客足が戻ってきました。消費者の購買意欲がまだ衰えていない(とはいえ、これまで以上に選別志向を強めています)ことから、こうした大規模セールが必要とされたというよりも、小売り業者側に販売サイクルの狂いが生じたために(配送の遅れ、事前発注の混乱…)特定の商品を割引販売する必要性があったといえるでしょう。我が家独自の購買指数に関して言えば、妻と娘は 18 回目となるブラックフライデーのショッピングに果敢に繰り出して行きました(昨年同様、今年も 10 時に SoHo から買い物をスタートしました。早朝 5 時に百貨店のメイシーズやミッドタウンに行列ができていた日々はもはや過去のものとなりました)。彼ら (とレシート)によると、昨年よりも買い物客は多く、購入量も増えましたが、コロナ危機前ほどではありませんでした。(彼らの話を聞くと)今年のセール内容は予想よりも良かったようです。小売業者(小売業協会やクレジットカード会社)が発表した公式の集計データによると、売上高は前年比2.3%増で過去最高の 91 億ドルとなりました。しかし物価の上昇を考慮すると、過去最高となったのは値上がりによるもので、販売数量が増えたわけではありませんでした。また、 サイバーマンデーの売り上げは、速報値で 116 億ドルと、2021 年の 107 億ドル(これは 2020 年から 1.4%減少)から増加しました。

12 月(そして待望の株式市場のクリスマスラリー)に関して言えば、レイムダック化(これ以外にも議会を評する形容詞を数多く思い付くことができます)した議会が仕事に取り掛かる必要があります (下院に関しては開票作業が終了する必要がありますし、上院については有権者は投票を済ませる必要があります[12 月 6 日のジョージア州の決選投票])。一部の政府機関がつなぎ予算の期限を迎える 12 月 16 日まで閉鎖されないで済むのであれば(そうなることに一縷の望みを託しています)、年内に採決しなければならない議案は国防予算を含む歳出法案です。現在点では、法案が議会通過するためには超党派での合意(政治家にとっての美徳)が必要となります。審議や採決の遅れは経済の停滞につながります。これは FRB にとっては好都合ですが、企業業績や経済には打撃となります。一部(の民主党議員)が債務上限(現時点では 31.4 兆ドル。S&P 500 指数の時価総額は 34.3 兆ドル)の引き上げを要求することも考えられ、終了が予定されているメディケア関連の助成金の延長を求める動きもありますが、実現の可能性は低いようです。株式市場の観点から言えば、大手企業は 2017 年に成立したトランプ減税の一部時限措置の期限が迫ることから、その延長を働きかけています (法人税の控除)。対象となる 2023 年の税額は 1,000 億ドルと見積もられていますが、企業は(研究開発費の償却と金利支払い控除の上限を念頭に置いて)ロビー活動を展開しています。EU は 12 月 5 日からロシア産原油の輸入を禁止する予定ですが (2023 年 2 月 5日以降は石油製品の輸入も禁止)、ロシアの輸出先はすでに中国、インド、トルコにシフトしています。ロシアのウクライナ侵攻が始まる前までは、ロシアの石油輸出の半分を EU が占めていました。なお、禁輸措置が始まる前日の 12 月 4 日には OPEC プラスによる会合が予定されています。

過去の実績を見ると、11 月は 60.6%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 4.00%、下落した月の平均下落率は 4.16%、全体の平均騰落率は 0.83%の上昇となっています。2022 年 11 月のS&P500 指数は、5.38%の上昇となりました。

12 月は 73.4%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 2.97%、下落した月の平均下落率は3.08%、全体の平均騰落率は 1.36%の上昇となっています。

今後の米連邦公開市場委員会 FOMC のスケジュールは、2022 年 12 月 13 日-14 日、2023 年は 1月 31 日-2 月 1 日、3 月 21 日-22 日、5 月 2 日-3 日、6 月 13 日-14 日、7 月 25 日-26 日、9 月 19日-20 日、10 月 31 日-11 月 1 日、12 月 12 日-13 日、となっています。

S&P500 指数は 11 月に 5.38%上昇して 4,080.11 で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス 5.59%)。10 月は 3,871.98 で終え、7.99%の上昇(同プラス 8.10%)、9 月は 3,585.62で終え、9.34%の下落(同マイナス 9.21%)でした。過去 3 カ月では 3.16%上昇(同プラス3.63%)、年初来では 14.39%の下落(同マイナス 13.10%)、過去 1 年間では 10.66%下落(同マイナス 9.21%)、2022 年 1 月 3 日の最高値からは 14.97%の下落(同マイナス 13.66%)、コロナ危機前の 2020 年 2 月 19 日の高値からは 20.49%上昇(同プラス 26.02%)でした。ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は 11 月に 5.67%上昇して 34,589.77 で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス 6.04%)。10 月は 32,732.95 で終え、13.95%の上昇(同プラス14.07%)、9 月は 28,725.51 で終え、8.84%の下落(同マイナス 8.76%)でした。2022 年 1 月 4日の最高値(36,799.65)からは 6.01%下落しました。過去 3 カ月では 9.77%上昇(同プラス10.36%)、年初来では 4.81%の下落(同マイナス 2.89%)、過去 1 年間では 0.31%上昇(同プラス 2.48%)しました。


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