THE S&P 500 MARKET: 2023 年 1 月
個人的見解: 低調な企業業績、だがそこまでは悪くはない
年明けから始まった 2022 年第 4 四半期の業績発表(時価総額の 44.4%に相当する企業が発表を終えました)からも分かる通り、とりわけ請求書(給与、設備投資資金、配当。さらに自社株買いという声も聞かれます)を処理する立場にある場合、財務状態(まずは利益、次にキャッシュフロー)を把握することが正しい事のように思われます。実際の第 4四半期の企業利益は好調ではありませんでしたが、ウィスパーナンバー(あるいは懸念された)ほど悪くはありませんでした。最終的に第 4四半期の営業利益は前期比 2.7%増が見込まれています(過去最高を記録した 2021 年第 4 四半期から 8.8%減少。なお、2021 年末の S&P500指数は 4,766)。実際の売上高は企業のコスト増(といくらかの追加利益)を転嫁する能力が低下していることを示しています。2022 年第 4四半期の売上高は過去最高となった第 3 四半期(この時期は消費者の購買意欲が旺盛で、「リベンジ消費」なる言葉が生まれました)を僅かに上回る(0.9%増)見通しです。業績は(相対的には)それほど悪くはありませんが、明らかに半数以上の企業の最高経営責任者(CEO)は今後の困難な状況、利益率の悪化(第 4 四半期の営業利益率は11.48%と、1993 年以降の平均である 8.29%を依然として大幅に上回っています)、および消費者の買い控えについて警告を発しています(心配は無用です。ワシントンでは重要プログラムである IRA(インフレ抑制法)や半導体産業を支援する CHIPS 法が重視されています。しかしこれらの財源はどうやって確保するのでしょうか)。特筆すべき(明るい)材料としては、CEO のコメントから長期悲観論が消え、現在の景気後退期を乗り越えることは可能との確信が示されたことがあります。こうした CEO の見解に後押しされ、米連邦準備制度理事会(FRB)の声明文に若干のタカ派色が残っているにもかかわらず、市場関係者の間では 2 会合連続で 0.25%ずつの利上げが行われるとの観測が優勢となっています。以上を勘案すると(かなりの確度で)、いずれ(下半期には)太陽が昇ってくると考えられます。株式市場では 4 年ぶりに 1 月の騰落率がプラスとなりました(6.18%上昇。2022 年 1 月は 5.26%下落、2021 年 1 月は 1.11%下落、2020 年 1 月は 0.16%下落)。実現確率 71%を誇るウォール街の格言「1 月の相場がその年の相場を決める」が示す通り、1 月の相場が順調であれば、その年の相場についても同じことが期待できます。2 月に関して言えば(今週後半から始まる)、1 日(水曜日)午後 2 時半からのパウエル議長の記者会見、2 日(木曜日)の取引終了後に行われる「トリプル A 株」(Apple、Alphabet、Amazon の 3社を指す。時価総額の 12.4%、2022 年第 3 四半期の企業利益の 8.1%を占める)の決算発表、そして 3 日(金曜日)の雇用統計(平均時給データを含む)の発表を乗り越えることが出来れば、(シングルモルトを楽しみながら)ゆっくりとくつろいで、資産配分の見直しを行う快適な週末を迎えることができるでしょう(弱気派であれば 4.5%を上回る安全資産の利回りは魅力的でしょう。リスク許容度が高く、十分な投資期間があるのであれば、足元の投資環境の変化は銘柄選択を行う上でこれまで以上に有望な投資機会を提供してくれる可能性があります)。
過去の実績を見ると、1 月は 61.7%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 4.20%、下落した月の平均下落率は 3.81%、全体の平均騰落率は 1.13%の上昇となっています。2023 年 1 月のS&P500 指数は、6.18%の上昇となりました。「1 月の相場がその年の相場を決める」という格言の実現率は 1929 年以降で 71.28%となっています(そして 2022 年はこの格言通りとなりました:1 月に下落し、通年でも下落しました)。取引初日の相場がその年の相場を決める確率はコイントスと同じ、50%です(2022 年は外れました。取引初日に終値で高値をつけ、それが終値ベースで年間の高値となりました)。
2 月は 53.2%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 2.88%、下落した月の平均下落率は3.45%、全体の平均騰落率は 0.09%の下落となっています。