THE S&P 500 MARKET: 2025年4月
個人的見解: 不確実性が市場を支配してボラティリティが上昇する中、ゲームは続く
全体として、市場機能は目に見えて改善しましたが、それは上昇基調で月末を迎えたからではなく(市場は4月7日時点で13.84%下落していましたが、月間では0.76%の下落にとどまりました)、政治家たちが関税の初回ラウンドを撤回し、関税水準を引き下げるのが全員にとって望ましいと認めたためです。「相互確証破壊(MAD)」という、冷戦期間中の1960年代に生まれた言葉が現代によみがえりました。
現在、一部の業界を例外として基本関税は10%辺りで落ち着く公算が大きく(中国はより高税率です)、相互関税については解決の必要があるとみられています。ハイレベル「合意」の目標期日は依然として7月第1週で変わりないため、米議会は7月4日の休日明けの7月7日から作業に取り掛かることになりそうです。
結論を言うと、関税合戦は引き続き話題の中心であり、拡大が予想されますが、世界的な貿易ニーズとその影響によって徐々に鎮静化しつつあります。
出来高は高水準が続いており(4月の出来高は前月比7%増、前年同月比52%増)、不確実性とボラティリティは急激に高まっています。VIX指数は、関税が発表された4月2日の終値は21.51でしたが、その後60.13まで上昇しました。
決算シーズンは関税ほど注目されませんでしたが、それでも取引に影響を及ぼし、ガイダンスがネガティブと判断されれば市場はすぐに反応し、株価は下落しました。ほとんどの企業はあいまいなガイダンスにとどめ、事業や利益に対する影響については一般論に終始し、具体的なコメントを避けました。これまでに282銘柄(時価総額ベースで55.1%)が第1四半期決算の発表を終え、210銘柄で利益が予想を上回り、168銘柄で売上高が予想を上回りました。2025年第1四半期の利益は過去最高となった2024年第4四半期から2.7%減、前年同期比では9.0%増となる見通しです。ガイダンスは低下傾向にありますが、それでも2025年および2026年に2桁台の成長を見込んでおり、現時点ではなお非現実的に見えます。企業が強気のガイダンスを示せば、そこからアナリストは予想の下方修正を始め、市場予想は低下すると思われます。あるいは、予想の修正が遅れた場合、第2四半期が終わった時点で、何らかの「ダメージ」が表面化するとみられます。
S&P500指数は年初来で5.31%下落しています(配当込みのトータルリターンはマイナス4.92%)。終値での最高値を記録した2025年2月19日からは9.36%下落(同マイナス9.13%)となっています。今年に入ってからの最高値更新回数は3回、2024年11月5日の米大統領選挙以降では13回です。