THE S&P 500 MARKET: 2024年11月
個人的見解: 選挙結果が早々と判明し、株価は素早く反応して直ちに最高値を更新。市場は予想される政府の政策変更ならびに(もちろん)ファンダメンタルズ(企業業績)に注目
米大統領選はまたもや世論調査の予想通りにはなりませんでした。選挙の翌日(11月6日)早朝にはトランプ氏の勝利が確実になったと伝えられ、予想されていたような接戦にはならず、トランプ氏の圧勝に終わりました。最終的な集計結果は(まだ)出ていませんが、選挙人獲得数はトランプ氏の312人に対してハリス氏が226人(過半数270人)、得票率はトランプ氏が49.9%(7,690万票)、ハリス氏が48.3%(7,440万票)となっています。上院は53議席対47議席で共和党が民主党から過半数を奪還しました(現有議席は51議席対49議席で民主党が過半数を占めています)。下院は共和党が過半数を維持し、次の会期は共和党220議席、民主党214議席(過半数218議席)、欠員1議席で始まる見通しです(現有議席数は共和党220議席、民主党212議席、欠員3議席)。があります。そのため、われわれは市場に残り、投資を続けますが、非課税資産や繰延税金資産のことを考えると、ポートフォリオを清算して短期金融商品に投資し、保険として価格の高いオプションを活用するのが良い結果につながる可能性があります。
選挙結果を受け、市場は当初、幅広い(全面的ではないものの)リリーフラリー(反騰相場)となりました。選挙結果をめぐり対立が長期化すると予想されていましたが、そうした事態は回避されたからです。具体的には、選挙翌日、S&P500指数は初めて5,900を超えて取引を終え、今年48回目の史上最高値の更新となりました。上昇を牽引したのは金融セクターで、規制緩和や中小金融機関の合併、そしてM&A全般が増えることへの期待を背景に6.2%上昇ししました。一方、下落したのは予想される政府の規制や歳出関連の政策変更で悪影響を受けるとみられる銘柄で、たとえば、太陽光発電関連銘柄のほか、1ドルショップのように中国からの輸入に依存する銘柄、ならびに住宅や不動産関連銘柄の一部が大きく値を下げました。注目点は投票者の内訳(年齢、性別、人種、地域別)で、当初の内訳によると、共和党と民主党の伝統的支持基盤に大きな変化が起きており、党の政策優先順位の変化につながるとみられます(そして世論調査会社は前提条件や調査手法を再度見直す必要があるでしょう)。市場はその後、3日連続で最高値を更新し、終値でS&P500指数は6,000台を突破し、さらに2回、終値で最高値を更新しました。そのうち1回は11月の最終営業日で、11月の最高値更新回数は6回となりました(取引時間中の最高値は6,044.17、終値での最高値は6,032.38)。ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)も(これに遅れじと)月中に7回最高値を更新し、初めて4万4,000ドルそして4万5,000ドルの節目を超え、終値での最高値で月を終えました(取引時間中に4万5,071.29ドルをつけましたが、終値では4万4,910.65ドルと、4万5,000ドルの節目に僅かに届かず取引を終えました)。市場が今後見込まれる政策、規制、歳出の影響を消化するのにともない、リリーフラリーは既に終わり、資産や銘柄の配分が見直されました。11月にS&P500指数は5.73%と大幅に上昇し、11セクターすべてが上昇しました。値上がり銘柄数は385銘柄(147銘柄が10%以上値上がり)、値下がり銘柄数は118銘柄(12銘柄が10%以上値下がり)でした。これに対して10月は値上がり銘柄数が199銘柄、値下がり銘柄数が304銘柄でした。セクター別でパフォーマンスが最高だったのは一般消費財で13.24%上昇し、最低だったのはヘルスケアで0.13%上昇しました。