THE S&P 500 MARKET: 2023 年 9 月
個人的見解: 金利を長期的に高止まりさせる FRB の政策 が浸透したことで、9 月は 8 月を上回る下落。S&P500
指数の 9 月の騰落率は 4.87%の下落、第 3 四半期は 3.65%の下落、年初来は 11.68%の上昇。
株式市場で材料消化が進んだことは良いニュースです。(それほど強く確信しているわけではありませんが)おそらく、8 月の 1.77%下落に続 き、9 月も株式市場が 4.87%下落したことで(下落率は 2022 年 9 月の 9.34%よりは小幅でしたが、2021 年の 4.76%や 2020 年の 3.92%を上 回りました)、市場は悪材料を織り込んだと言えるかもしれません。指 摘できる悪材料としては、第 4 四半期の消費支出の減少、学生ローン の返済再開問題、中国経済の減速、ドル高の影響、1 バレル=91 ドル まで上昇した原油価格(CPI よりも PPI への影響の方が懸念されます。なお、10 月の CPI に基づいて公的年金の引き上げがどの程度となるか が決定されますが、引き上げ幅は 3.2%が見込まれています)、労働コ ストの上昇、そして(10 月の第 1 週がノンイベントで済むとは考えら れませんが)米国政府機関が閉鎖される可能性が挙げられます。当然の ことながら、(理論的には)上記に加えて、以下の点も市場では材料視 されています。つまり、依存症患者(米国の消費者)には買い物が欠か せないこと(クレジットカード残高の増大)、政府が進めている支出プ ログラム(半導体事業支援のための CHIPS 法、インフラ整備事業、IRA、IRS が新型コロナ対策としての従業員雇用継続税額控除(ERC) の新規申請の受理を延期したとしても発生する新型コロナ関連の支 出)、堅調な労働市場(ようやく僅かながら減速の兆候が見え始めてい ます — とはいえ週間新規失業保険申請件数では、まだ減速の兆候は確 認されていません)、そして市場参加者がバックストップとして、経済 に問題が生じれば、政府が(大統領が署名することで)救済措置を講じ る(少なくとも 2024 年 11 月までは)と考えていることです。
今後の展開が予測しづらいのは間違いありませんが、私は自分が理解している(あるいは理解して いると思っている)ことに基づいて行動していきます。米国経済は想定以上に力強く(財政支援が 大盤振る舞い状態にあるとしても)、企業のバランスシートは健全です(少なくとも S&P 500 指 数採用銘柄全体として見た場合)。負債コストは(キャッシュフローによって)問題なくカバーさ れており、保有現預金も引き続き高水準となっています(S&P Industrials 指数構成銘柄の保有現 預金は 1.8 兆ドルで、営業利益の 82 週分に相当します)。営業利益率も歴史的に見て高い水準に あります(第 2 四半期は 11.87%ですが、この先低下が予想されています。過去 10 年間の平均は 10.32%、1993 年からの長期平均は 8.34%で、これにはストーリー、或いは対話型読書法である ABD で話題となるような統計もあります)。利益も第 3 四半期には若干の増加が見込まれていま す(1%の増益予想。陰では 2.5~3%と予想する声も聞かれました)。第 3 四半期については、前 期比と前年同期比では(セクター毎に)状況が大きく異なっています。