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マーケット分析レポート S&P 500 2023年9月

S&P Kenshoニュー・エコ ノミー四半期コメント

World by Numbers: S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による 2023 年 9 月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2023年8月

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年8月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2023年9月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 9 月

個人的見解: 金利を長期的に高止まりさせる FRB の政策 が浸透したことで、9 月は 8 月を上回る下落。S&P500
指数の 9 月の騰落率は 4.87%の下落、第 3 四半期は 3.65%の下落、年初来は 11.68%の上昇。

株式市場で材料消化が進んだことは良いニュースです。(それほど強く確信しているわけではありませんが)おそらく、8 月の 1.77%下落に続 き、9 月も株式市場が 4.87%下落したことで(下落率は 2022 年 9 月の 9.34%よりは小幅でしたが、2021 年の 4.76%や 2020 年の 3.92%を上 回りました)、市場は悪材料を織り込んだと言えるかもしれません。指 摘できる悪材料としては、第 4 四半期の消費支出の減少、学生ローン の返済再開問題、中国経済の減速、ドル高の影響、1 バレル=91 ドル まで上昇した原油価格(CPI よりも PPI への影響の方が懸念されます。なお、10 月の CPI に基づいて公的年金の引き上げがどの程度となるか が決定されますが、引き上げ幅は 3.2%が見込まれています)、労働コ ストの上昇、そして(10 月の第 1 週がノンイベントで済むとは考えら れませんが)米国政府機関が閉鎖される可能性が挙げられます。当然の ことながら、(理論的には)上記に加えて、以下の点も市場では材料視 されています。つまり、依存症患者(米国の消費者)には買い物が欠か せないこと(クレジットカード残高の増大)、政府が進めている支出プ ログラム(半導体事業支援のための CHIPS 法、インフラ整備事業、IRA、IRS が新型コロナ対策としての従業員雇用継続税額控除(ERC) の新規申請の受理を延期したとしても発生する新型コロナ関連の支 出)、堅調な労働市場(ようやく僅かながら減速の兆候が見え始めてい ます — とはいえ週間新規失業保険申請件数では、まだ減速の兆候は確 認されていません)、そして市場参加者がバックストップとして、経済 に問題が生じれば、政府が(大統領が署名することで)救済措置を講じ る(少なくとも 2024 年 11 月までは)と考えていることです。

今後の展開が予測しづらいのは間違いありませんが、私は自分が理解している(あるいは理解して いると思っている)ことに基づいて行動していきます。米国経済は想定以上に力強く(財政支援が 大盤振る舞い状態にあるとしても)、企業のバランスシートは健全です(少なくとも S&P 500 指 数採用銘柄全体として見た場合)。負債コストは(キャッシュフローによって)問題なくカバーさ れており、保有現預金も引き続き高水準となっています(S&P Industrials 指数構成銘柄の保有現 預金は 1.8 兆ドルで、営業利益の 82 週分に相当します)。営業利益率も歴史的に見て高い水準に あります(第 2 四半期は 11.87%ですが、この先低下が予想されています。過去 10 年間の平均は 10.32%、1993 年からの長期平均は 8.34%で、これにはストーリー、或いは対話型読書法である ABD で話題となるような統計もあります)。利益も第 3 四半期には若干の増加が見込まれていま す(1%の増益予想。陰では 2.5~3%と予想する声も聞かれました)。第 3 四半期については、前 期比と前年同期比では(セクター毎に)状況が大きく異なっています。

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S&P Kenshoニュー・エコ ノミー四半期コメント

S&P Kenshoニュー・エコノミー指数は、第四次産業革命 を牽引する産業とイノベーションの動きを捉える

2023年第2四半期初めには、マクロ経済リスクの高まりを受け、株式市場は不安定に推移しましたが、四半期全体では堅調なパフォーマンスとなりました。米国の債務上限引き上げ交渉が難航したことで、市場は神経質な展開となったものの、債務上限問題は予想通り解決し、米国債利回りや世界の株式市場に大きな影響が及ぶことはありませんでした。それ以外では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ方針やマクロ経済指標に注目が集まる一方で、今後数四半期における景気後退の可能性が懸念されました。FRBは6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げの一時停止を決定しました。その後、パウエルFRB議長は2023年末時点の経済成長見通しとインフレ見通しを上方修正し、タカ派姿勢を再表明しました。これを受け、市場では年末時点の予想金利水準が上昇したものの、FRBによる年末時点の予想金利水準を下回りました。市場とFRBの見方にはそれぞれ根拠があります。米国債のイールドカーブの逆転、シリコンバレー銀行の破綻による銀行融資基準の厳格化、インフレ率の鈍化、及び企業業績の減速見通しなどを踏まえると、FRBは利上げを早期に打ち止めする可能性があります。その一方で、堅調な個人消費、労働市場の逼迫と賃金の上昇、エネルギー価格の下落、及びコア・インフレ率の高止まりなどを踏まえると、FRBは計画通り利上げを継続する可能性があります。投資家は、今後数ヵ月にわたり発表される経済指標を確認し、FRBの政策方針がより明確になるまで静観すると見込まれ、こうした中で投資家は潤沢な手元資金を確保しているように思われます。ファンドの資金フロー・データによると、シリコンバレー銀行の破綻を受け、第1四半期には4,240億ドルもの資金がマネー・マーケット・ファンドに流入しましたが、第2四半期も1,740億ドルの流入があり、マネー・マーケット・ファンドへの旺盛な資金流入が続きました(リンク)。

世界の株式市場(S&P グローバル総合指数)は6%上昇し、米国を除く先進国市場(2.2%)と新興国市場(1.3%)がともにパフォーマンスに貢献しました。原油価格の安定やインフレ率の鈍化を受け、第2四半期にはユーロ圏の株式市場も上昇しましたが、米国の株式市場をアンダーパフォームしました。中国ではゼロコロナ政策が解除されて以降、需要見通しの下方修正が続いており、こうした中で新興国市場の株価は伸び悩みました。米国の株式市場(S&P 1500™)は8.4%上昇し、大型株、中型株、及び小型株の全てのセグメントがプラスのパフォーマンスとなりました。S&P 500®も第2四半期に8.7%上昇しました。同指数は2022年10月の底値から24%上昇し、テクニカル面で強気相場に戻りました。ただし、株価の上昇を牽引したのは、いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7銘柄(アップル、アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、及びテスラ)であり、これらの銘柄だけでS&P 500は第2四半期に5.6%近く押し上げられました。また、情報技術セクターはS&P 500の上昇の半分以上に寄与しました。グロース株への資金流入が続き、グロース株がバリュー株をアウトパフォームする傾向が続きました(グロース指数は第2四半期にバリュー指数を4%アウトパフォーム)。低ボラティリティ戦略や配当戦略は若干のマイナス・パフォーマンスとなりました。VIX®指数は、コロナ禍が始まって以降で最も低い水準に達しました。S&P Kenshoニュー・エコノミー・コンポジット指数は4.6%上昇し、2四半期連続の上昇となりました。グロース株やテクノロジー株が堅調であったことは、各サブセクターのパフォーマンスにも反映されました。25のサブセクターの内、16がプラスのパフォーマンスとなりました。一方、サステナブル・ファーミング、デジタル・ヘルス、及びクリーン・エネルギーなどのディフェンシブ性の高いサブセクターは軟調なパフォーマンスとなりました。

主要中央銀行がタカ派姿勢を維持する中で、債券市場は第2四半期に総じて下落しました。米国債利回りが上昇したため、米国債指数は第2四半期にマイナスのリターンとなり、特に長期国債指数の下落が目立ちました(S&P 米国債7-10年指数は-1.5%)。iBoxx米ドル建てリキッド・ハイイールド指数(1.3%)はiBoxx米ドル建てリキッド投資適格指数(-0.04%)をアウトパフォームしました。コモディティ(-2.7%)は第2四半期に下落し、特に産業用金属(-9%)とエネルギー(-3.2%)の下落が目立ちました。世界経済の減速懸念などを受け、原油(-7%)は下落しました。一方、天然ガス(26%)は上昇しましたが、年初来では依然として大幅な下落となっています。米議会で連邦債務上限の引き上げが合意されたことから、金(-3%)はやや下落し、第1四半期の上昇分を一部失いました。米ドルは第2四半期に比較的安定して推移しました。

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World by Numbers: S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による 2023 年 9 月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 10 月 2 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当な し。以下、全データについて同じ)によると、2023 年 9 月の全世界の株式市場は 4.29%の下落 となった。9 月は、先進国市場が 4.55%の下落、新興国市場も 2.07%の下落となった。また、先 進国大型株は 4.37%の下落、先進国小型株も 5.65%の下落となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    9 月の国別パフォーマンス上位は、エジプト、トルコ、コロンビア、アラブ首長国連邦、ノルウェ ーの順となった。米国市場はマイナス 4.88%で 48 ヶ国中 32 番目となった(表 2 参照)。9 月の 円建てでの日本市場は、マイナス 0.50%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 9 月の REIT 市場は 7.13%の下落となった。国別のパフォーマンス上位は、香港、イ スラエル、日本、シンガポール、ニュージーランドの順となった。日本の 9 月の REIT 市場は 4.16%の下落となった。米国の 9 月の REIT 市場は、7.47%の下落だった(表 3 参照)。

World by Numbers: S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による 2023 年 9 月の世界市場パフォーマンス・サマリー: 図表 1

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マーケット分析レポート S&P 500 2023年8月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

S&P Dow Jones Indices

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 8 月

個人的見解: 6 月と 7 月の上昇から揺り戻し、市場は高値水準を試す展開に

米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ終了(および利下げ開始期待)と、インフレの収束(一時的という言葉が調整または再定義されました)を祝う 6 月と 7 月のパーティー(9.79%上昇)も、8 月に終わってしまいました。市場は、個人消費と政府支出に後押しされた経済の好調を受けて金利が長期的に高止まりする可能性に注目し始め、今では、経済がどの程度好調なのかという点に焦点が当てられています。経済の好調度合いに対する懸念から、市場は 8 月 18 日までに 4.78%下落し、利益確定や資産配分の見直しといった動きも下落に拍車をかけたとみられます。実際には、その後に発表された経済指標(住宅関連、JOLTS(求人労働異動調査)、雇用関連)は成長の鈍化を示しており、市場は 18日以降に 3.16%持ち直しましたが、最終的に 1.77%下落して 8 月を終えました。値下がり銘柄数を下回っていた値上がり銘柄数は増えましたが、8 月は値下がり銘柄数が上回りました。6~7 月には 449 銘柄が上昇し、54 銘柄が下落しましたが、8 月の値上がり銘柄数は 153 銘柄、値下がり銘柄数は 350 銘柄でした。どちらの期間を見ても、市場は下値支持線を探りながら水準を探っているようです。ボラティリティは高まり、日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は 7 月の 0.68%から 8 月は 1.01%に上昇し、3 月の 1.51%以来の高水準となりました。

個別銘柄レベルでは、9 月 19 日-20 日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にアナリストが 2023 年第 4 四半期および 2024 年通期の予想を見直すのに伴い、株価水準を試す展開が 9 月も続くとみられます。金融政策に関しては、先物市場は 9 月の FOMC で金利が据え置かれる確率を 89%と織り込む一方、10 月 31 日-11 月 1 日の FOMC で0.25%の利上げが行われる確率は 38%と織り込んでいます。利上げに関する明るい面として、市場は 0.25%の利上げを受け入れる準備が完全に整っています。ただし、パウエル議長の文言から、追加利上げは最後となることが示唆される場合に限ります。全体として、ボラティリティの上昇が予想されますが、その状況は業界や個別銘柄の見通しによって異なるほか、FRB の動きやコメントは相場全体の上下に影響するとみられます。大統領選挙までまだ 16 カ月もあるため、現時点では市場に大きな影響を及ぼしていませんが(コンプライアンス上、筆者の見解を述べることはできませんが、私の母が生きていたなら、そのリスクを取っていたでしょう)、議会と大統領をめぐるさまざまな選挙結果を想定したポートフォリオの構築は進んでいるようです。また、1928 年以降の統計で 9 月は最もパフォーマンスが悪い月であり、上昇の確率はわずか 44%で、パフォーマンスを平均すると1.12%の下落となっています。ちなみに 2022 年 9 月は 9.35%下落、2021 年 9 月は 4.76%下落で、2020 年 9 月は 3.99%下落しました。

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World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年8月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 9 月 1 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当なし。以下、全データについて同じ)によると、2023 年 8 月の全世界の株式市場は 3.08%の下落となった。8 月は、先進国市場が 2.82%の下落、新興国市場も 5.34%の下落となった。また、先進国大型株は 2.64%の下落、先進国小型株も 3.94%の下落となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    8 月の国別パフォーマンス上位は、トルコ、エジプト、ハンガリー、デンマーク、ルクセンブルクの順となった。米国市場はマイナス 2.13%で 49 ヶ国中 13 番目となった(表 2 参照)。8 月の円建てでの日本市場は、プラス 0.40%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 8 月の REIT 市場は 3.36%の下落となった。国別のパフォーマンス上位は、アイルランド、ドイツ、日本、フランス、オーストラリアの順となった。日本の 8 月の REIT 市場は 1.64%の下落となった。米国の 8 月の REIT 市場は、3.20%の下落だった(表 3 参照)。

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年8月の世界市場パフォーマンス・サマリー: 図表 1


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