THE S&P 500 MARKET: 2023 年 3 月
個人的見解: 株式市場は金融不安の先にある FRB の利下げを見据えている
災難の中にあっても常に(ご指摘の通り「たまには」と表現する方が妥当でしょう)希望の光はあるものです。3 月の S&P 500 指数のトータルリターンは 3.67%でしたが、より詳しく見ていくと、セクター間でのリターン格差が大きかったことが分かります。全体では 3.67%となったリターンも、9.55%下落した金融(月間リターンに対する寄与度はマイナス 1.13%)を除くと 4.81%でした。一方で、10.93%上昇した情報技術(同プラス 2.97%、Microsoft と Apple の 2 社だけで金融のマイナス分を帳消しとする同プラス 1.72%)を除くと、S&P 500 指数の 3月のトータルリターンは 0.70%にとどまりました。 第 1 四半期の年初来のトータルリターンは 7.50%でしたが、同 21.82%を記録した情報技術(同期間のトータルリターンに対する寄与度は 5.34%。Apple とMicrosoft の同寄与度は 2.71%)を除くと 2.71%となりました。こうした分析については MarketAttributes のファイルの図表 10 を参照ください。
銀行関連ではネガティブなイベントが発生しました。SVB と Signatureの 2 行が経営破綻し、First Republic の株価は 89%下落しました。
Credit Suisse が発行した債券の中の 170 億ドル分が無価値となりました。この先、何年も銀行の取り付け騒ぎのイメージが地方銀行 (と投資家)から払拭されないと思われ、当局は新たな効果的な対応策を検討しています。
現時点では銀行の経営破綻はシステマティックな問題ではないとみられていますが、預金引き出しがきっかけとなって今後も銀行の経営破綻が続く可能性もあります。
前掲の 3 つの金融機関の「問題」は異なる原因によるものです。SVB はリスク管理と満期構成に問題があった典型例とみられ、これは経営陣の失敗というだけではなく、現在では規制システムの失敗でもあると考えられています。
Signature の経営破綻はポートフォリオの問題といえるでしょう。