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マーケット分析レポート S&P 500 2023年3月

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年3月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2023年2月

World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年2月の世界市場パフォーマンス・サマリー

マーケット分析レポート S&P 500 2023年1月

マーケット分析レポート S&P 500 2023年3月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 3 月

個人的見解: 株式市場は金融不安の先にある FRB の利下げを見据えている

災難の中にあっても常に(ご指摘の通り「たまには」と表現する方が妥当でしょう)希望の光はあるものです。3 月の S&P 500 指数のトータルリターンは 3.67%でしたが、より詳しく見ていくと、セクター間でのリターン格差が大きかったことが分かります。全体では 3.67%となったリターンも、9.55%下落した金融(月間リターンに対する寄与度はマイナス 1.13%)を除くと 4.81%でした。一方で、10.93%上昇した情報技術(同プラス 2.97%、Microsoft と Apple の 2 社だけで金融のマイナス分を帳消しとする同プラス 1.72%)を除くと、S&P 500 指数の 3月のトータルリターンは 0.70%にとどまりました。 第 1 四半期の年初来のトータルリターンは 7.50%でしたが、同 21.82%を記録した情報技術(同期間のトータルリターンに対する寄与度は 5.34%。Apple とMicrosoft の同寄与度は 2.71%)を除くと 2.71%となりました。こうした分析については MarketAttributes のファイルの図表 10 を参照ください。

銀行関連ではネガティブなイベントが発生しました。SVB と Signatureの 2 行が経営破綻し、First Republic の株価は 89%下落しました。

Credit Suisse が発行した債券の中の 170 億ドル分が無価値となりました。この先、何年も銀行の取り付け騒ぎのイメージが地方銀行 (と投資家)から払拭されないと思われ、当局は新たな効果的な対応策を検討しています。

現時点では銀行の経営破綻はシステマティックな問題ではないとみられていますが、預金引き出しがきっかけとなって今後も銀行の経営破綻が続く可能性もあります。

前掲の 3 つの金融機関の「問題」は異なる原因によるものです。SVB はリスク管理と満期構成に問題があった典型例とみられ、これは経営陣の失敗というだけではなく、現在では規制システムの失敗でもあると考えられています。

Signature の経営破綻はポートフォリオの問題といえるでしょう。

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World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年3月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 4 月 3 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当なし。以下、全データについて同じ)によると、2023 年 3 月の全世界の株式市場は 2.11%の上昇となった。3 月は、先進国市場が 2.15%の上昇、新興国市場も 1.85%の上昇となった。また、先進国大型株は 2.99%の上昇、先進国小型株は 2.69%の下落となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    3 月の国別パフォーマンス上位は、デンマーク、ポルトガル、韓国、オランダ、サウジアラビアの順となった。米国市場はプラス 2.48%で 49 ヶ国中 18 番目となった(表 2 参照)。 3 月の円建てでの日本市場は、プラス 0.45%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 3 月の REIT 市場は 3.52%の下落となった。国別のパフォーマンス上位は、イスラエル、シンガポール、イタリア、日本、ニュージーランドの順となった。日本の 3 月の REIT 市場は0.80%の下落となった。米国の 3 月の REIT 市場は、3.25%の下落だった(表 3 参照)。

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マーケット分析レポート S&P 500 2023年2月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 2 月

個人的見解: 市場は 0.25%ずつさらに 3 回の追加利上げを織り込んでいるが、0.50%の利上げも懸念される

2 月の市場は、「取り残されることへの恐怖(fear of missing out:FOMO)」に駆られた最後の投資家が市場を押し上げたことで、1 月末時点の年初来 6.18%高の水準からさらに 2.53%上昇してスタートしました。各種の市場レポートでは引き続き、インフレの減速が示されましてたが、市場ではインフレ率の低下に時間がかかることと、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標と実際のインフレ率との乖離に焦点が移り始めました。金利をより高水準により長期にわたり維持する必要性を示唆するデータが発表されるにつれて、株価は月初の上昇を維持することができませんでした。転機は 2 月 21 日に訪れたようです。ホームセンター大手の Home Depot(HD)と小売り大手の Wal-Mart(WMT)が個人消費を理由に慎重な見通しを示すと(Wal-Mart は利益率の低い食料品の売り上げが伸びたことを明らかにしました)、市場は潜在的なインフレの長期化に加えて景気の減速も織り込み始め、S&P500 指数は 2%下落し、1 営業日での下落幅として今年に入って最大となりました(この時点で、2023 年の営業日数はまだ 29 日しかありませんでしたが)。経済見通しの引き下げ、インフレ率低下の減速、ならびに米連邦公開市場委員会(FOMC)が少なくともあと 3 回(3月、5 月、6 月)は利上げを継続する可能性が高まったとの認識を受け、市場の懸念は高まる一方となりました。3 月 21-22 日の次回のFOMC における 0.25%の利上げが予想されていますが(先物市場が示唆する確率は 77%、1 カ月前は 85%)、利上げ幅が 0.50%となる可能性もあります(同 23%、1 カ月前はほぼゼロ)。株価は下落し、2 月の市場は 1 月末から下落して終わりました(出来高も低調でした)。一方で、金利は上昇し、米国 1 年債利回りは 5%を上回り、あらゆる資産クラスの中で最も高い利回りとなりました。最終的に、S&P500 指数は月間で 2.61%の下落、年初来では 3.40%の上昇、2022 年 1 月 3 日に付けた終値での最高値からは 17.23%の下落で 2 月を終えました。

企業業績に関しては、時価総額で 97%に相当する企業が 2022 年第 4 四半期の決算発表を終え、決算シーズンは終わりつつあり、市場の話題は第 4 四半期から 2023 年第 1 四半期に移っています。2022 年第 4 四半期の営業利益は前期比 1.7%減、前年同期比 12.7%減となる見通しです。売上高は前期比 2.8%増、前年同期比 8.4%増となり、過去最高を更新する見通しです。企業は 2022 年第4 四半期にコスト増の大部分を価格に転嫁することができたようですが、2023 年第 1 四半期にそうした動きはもはや見られません。第 1 四半期の利益見通しは下方修正されており、現時点では2022 年末時点の予想から 5.4%引き下げられて前期比 2.0%増が見込まれていますが、前期比でマイナスになる可能性も十分にあります。2023 年下半期の利益見通しは据え置かれています。現在、利益(およびキャッシュフロー)以上に重視されているのは 3 月 21-22 日の FOMC 会合であり、それまでに多くの経済指標が発表される予定です。3 月 10 日には雇用統計が発表され、前月の非農業部門就業者数の 51 万 7,000 人増が下方修正されるとの見方が強まっています。

過去の実績を見ると、2 月は 53.2%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 2.88%、下落した月の平均下落率は 3.45%、全体の平均騰落率は 0.09%の下落となっています。2023 年 2 月のS&P500 指数は、2.61%の下落となりました。

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World by Numbers: S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス株価指数による2023年2月の世界市場パフォーマンス・サマリー

(2023 年 3 月 1 日、東京=S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス)

  1. 全世界の株式市場パフォーマンス

    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスの算出する S&P グローバル総合指数(米ドル建て、配当なし。以下、全データについて同じ)によると、2023 年 2 月の全世界の株式市場は 2.90%の下落となった。2 月は、先進国市場が 2.56%の下落、新興国市場も 5.65%の下落となった。また、先進国大型株は 2.56%の下落、先進国小型株も 2.58%の下落となった(詳細は表1参照)。

  1. 国別パフォーマンス

    2 月の国別パフォーマンス上位は、チェコ、ギリシャ、トルコ、パキスタン、デンマークの順となった。米国市場はマイナス 2.48%で 49 ヶ国中 26 番目となった(表 2 参照)。 2 月の円建てでの日本市場は、プラス 0.93%であった。

  2. REIT 市場

    先進国の 2 月の REIT 市場は 4.68%の下落となった。国別のパフォーマンス上位は、ドイツ、オランダ、スペイン、イタリア、ベルギーの順となった。日本の 2 月の REIT 市場は 3.67%の下落となった。米国の 2 月の REIT 市場は、4.89%の上昇だった(表 3 参照)。


マーケット分析レポート S&P 500 2023年1月

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Howard Silverblatt

Senior Index Analyst, Product Management

THE S&P 500 MARKET: 2023 年 1 月

個人的見解: 低調な企業業績、だがそこまでは悪くはない

年明けから始まった 2022 年第 4 四半期の業績発表(時価総額の 44.4%に相当する企業が発表を終えました)からも分かる通り、とりわけ請求書(給与、設備投資資金、配当。さらに自社株買いという声も聞かれます)を処理する立場にある場合、財務状態(まずは利益、次にキャッシュフロー)を把握することが正しい事のように思われます。実際の第 4四半期の企業利益は好調ではありませんでしたが、ウィスパーナンバー(あるいは懸念された)ほど悪くはありませんでした。最終的に第 4四半期の営業利益は前期比 2.7%増が見込まれています(過去最高を記録した 2021 年第 4 四半期から 8.8%減少。なお、2021 年末の S&P500指数は 4,766)。実際の売上高は企業のコスト増(といくらかの追加利益)を転嫁する能力が低下していることを示しています。2022 年第 4四半期の売上高は過去最高となった第 3 四半期(この時期は消費者の購買意欲が旺盛で、「リベンジ消費」なる言葉が生まれました)を僅かに上回る(0.9%増)見通しです。業績は(相対的には)それほど悪くはありませんが、明らかに半数以上の企業の最高経営責任者(CEO)は今後の困難な状況、利益率の悪化(第 4 四半期の営業利益率は11.48%と、1993 年以降の平均である 8.29%を依然として大幅に上回っています)、および消費者の買い控えについて警告を発しています(心配は無用です。ワシントンでは重要プログラムである IRA(インフレ抑制法)や半導体産業を支援する CHIPS 法が重視されています。しかしこれらの財源はどうやって確保するのでしょうか)。特筆すべき(明るい)材料としては、CEO のコメントから長期悲観論が消え、現在の景気後退期を乗り越えることは可能との確信が示されたことがあります。こうした CEO の見解に後押しされ、米連邦準備制度理事会(FRB)の声明文に若干のタカ派色が残っているにもかかわらず、市場関係者の間では 2 会合連続で 0.25%ずつの利上げが行われるとの観測が優勢となっています。以上を勘案すると(かなりの確度で)、いずれ(下半期には)太陽が昇ってくると考えられます。株式市場では 4 年ぶりに 1 月の騰落率がプラスとなりました(6.18%上昇。2022 年 1 月は 5.26%下落、2021 年 1 月は 1.11%下落、2020 年 1 月は 0.16%下落)。実現確率 71%を誇るウォール街の格言「1 月の相場がその年の相場を決める」が示す通り、1 月の相場が順調であれば、その年の相場についても同じことが期待できます。2 月に関して言えば(今週後半から始まる)、1 日(水曜日)午後 2 時半からのパウエル議長の記者会見、2 日(木曜日)の取引終了後に行われる「トリプル A 株」(Apple、Alphabet、Amazon の 3社を指す。時価総額の 12.4%、2022 年第 3 四半期の企業利益の 8.1%を占める)の決算発表、そして 3 日(金曜日)の雇用統計(平均時給データを含む)の発表を乗り越えることが出来れば、(シングルモルトを楽しみながら)ゆっくりとくつろいで、資産配分の見直しを行う快適な週末を迎えることができるでしょう(弱気派であれば 4.5%を上回る安全資産の利回りは魅力的でしょう。リスク許容度が高く、十分な投資期間があるのであれば、足元の投資環境の変化は銘柄選択を行う上でこれまで以上に有望な投資機会を提供してくれる可能性があります)。

過去の実績を見ると、1 月は 61.7%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 4.20%、下落した月の平均下落率は 3.81%、全体の平均騰落率は 1.13%の上昇となっています。2023 年 1 月のS&P500 指数は、6.18%の上昇となりました。「1 月の相場がその年の相場を決める」という格言の実現率は 1929 年以降で 71.28%となっています(そして 2022 年はこの格言通りとなりました:1 月に下落し、通年でも下落しました)。取引初日の相場がその年の相場を決める確率はコイントスと同じ、50%です(2022 年は外れました。取引初日に終値で高値をつけ、それが終値ベースで年間の高値となりました)。

2 月は 53.2%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は 2.88%、下落した月の平均下落率は3.45%、全体の平均騰落率は 0.09%の下落となっています。


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